人事ってどんな仕事?
仕事内容や向いている人の特徴までくわしく解説

人事ってどんな仕事?

人事の仕事は、採用や配属管理の他にも教育研修の企画や実施、給与制度や福利厚生の充実、社会保険などの労務管理といった多岐にわたる業務があります。

この記事では、人事が果たす役割とその内容に加え、人事に向いている人のタイプやもっていると有利な資格まで解説します。ぜひ転職時の参考にしてください。

人事の役割

人事の役割は、企業にとって重要な経営資源のひとつである、人に関する業務をすべて担うことです。

一般的なイメージとしては、社員の採用や教育、昇進や降格の決定、人事異動の発令などが知られていますが、それ以外にも人材に関する業務にはさまざまな種類の仕事があります。その中には、労務と呼ばれる仕事も含まれます。

また、どの範囲までを人事が担当するどうかは企業によっても異なり、企業規模も関係します。

人事の仕事内容

人事の仕事内容は大きく以下の5つに分類できます。

・採用・雇用の管理
・組織配置の企画
・評価制度の企画
・育成・能力の開発
・制度・環境の整備
・労務管理

この6項目について以下で個別に解説します。

採用・雇用の管理

募集業務から選考、入社手続き、休職、そして最終的には退職までの管理をおこないます。採用に関する仕事は人事の大きな役割のひとつです。ただし、すべての過程を人事のみで行うとは限りません。

採用選考に関して、企業によっては配属予定のある部門がキーを握ることもあります。実質的な選考はすべて各部門が行い、人事は純粋に事務手続きのみを行うケースや、正規雇用については人事が行い、非正規雇用は部門に任せるなど、企業によっていろいろなパターンが存在します。

採用後の社員について、基本的には配属先を決定すし、その後の配置転換や給与の改定、昇進・降格といった処遇に関する機能をもちます。しかし、処遇についてなど各部門責任者などに委ねるケースもあり、企業ごとに異なります。

組織配置企画

人事の役割として、企業全体の組織と人員配置に関する企画があります。新規採用の計画もこの項目に含まれる仕事のひとつです。

人事制度の企画は、経営戦略とも密接に関係する職務であり、人事と聞いてすぐに思い浮かぶ機能とは異なるかもしれません。しかし、企業の目的を達成するために必要な人材を検討し、採用だけでなく、配置、育成といった仕事は人事そのものといえます。

評価制度の企画

従業員の勤務意欲が向上する会社にするためには制度と環境を整える人事制度の企画が必要となります。

この仕事では社員の業績に対する評価や、支給する報酬についての制度を企画する、会社にとって重要な業務です。従業員が正当な評価を受けられなければ、人材の流出にもつながるので、社員にも理解を得られる人事評価と報酬制度が必要だからです。

育成・能力の開発

社員の育成・能力の開発も人事に課せられた使命のひとつです。新入社員教育や中堅社員研修など人材を育成し活用する教育研修制度の企画立案から実施まで担当します。

企業によっては、人事部という部署ではなく教育研修専門の部署を設けることがあるように、非常に重要な機能です。

それだけに、担当者にも豊富な経験や高いスキルと専門性が求められます。自社で教育研修を行えない中小企業では、アウトソーシングを活用するケースもあります。

制度・環境の整備

社員の仕事に対するモチベーションの維持・アップは、企業が目的の達成に向かううえで欠かせないものです。そのためにも、福利厚生制度や給与体系の充実が求められます。

大型保養所や社員旅行から選べる福利厚生へと変わる時代です。また、個々の仕事を正しく評価するシステム、報酬がなければ不満が強まります。また、セクハラやパワハラの問題もあります。

ここでの人事の仕事は、福利厚生や給与に関する制度の検討や規則の明文化と運用など、社員が気持ちよく働くための環境を整備することです。

労務管理

人事が行う労務管理には、各部門から集められるタイムカードなど、勤怠に関するデータの集計・管理にはじまる給与計算、健康保険や厚生年金、雇用保険、労災の手続などがあります。

また、賃金規定や就業規則、社内問題への対応などは制度・環境の整備と重なる部分でもあり、一体的な視点も必要です。

一定数以上の社員がいる場合、法規則により、具合が悪くなった社員を休ませるための休養室の管理運営も必要です。

休養室という施設については、必ずしも人事担当部署の仕事ではなく、総務担当の部署などが行う企業もありますが、労務に関する仕事であることに変わりありません。

人事の仕事のやりがい

人事の仕事のやりがいはどんなところにあるのか、以下で解説します。

企業の顔として働ける

採用時における学校訪問における担当教員との接触や、企業説明会や面接などで応募者と対面する仕事は、自社に対する印象やイメージも左右する重要な役割です。

また、相手にとっては、最初に対面する当該企業の担当者であり、労務の仕事で役所へ行く担当者にも会社を背負う責任があります。まさに人事は企業の顔といえるでしょう。

このように、人事の仕事には会社を代表して行うものが多く、自社の顔となって働けるやりがいは大きいといえます。

社員の成長に関わることができる

自分が採用に関わった社員や、教育研修を担当した社員の仕事ぶりは気になるものです。そういった社員が各部署で活躍し、成長する姿を見ているとうれしくなるという人事の担当者は少なくありません。

現場の上司や先輩などにとっても部下の成長はうれしいものですが、社員の成長は人事本来の仕事の成果でもあり人事の感じるうれしさはまた別ものといえます。

人事に向いているのはこんな人

多岐にわたる重要な職務を担う人事に向いている人は以下のような人です。

明るくコミュニケーション能力がある

会社の顔となるケースの多い人事の仕事には、第一印象も重要です。人事担当者の対応がその会社のイメージにつながるため、感じのよい対応ができる人は人事に向いています。

また、関係先や応募者とのやりとりに加え、従業員の労務に関する相談やトラブルに人事異動など、会社と社員にとって重要な決定事項も少なくありません。

そのため、コミュニケーション能力の高い人も人事の仕事に向いているといえます。

機密情報を守れる

人事の仕事は、ほかの部門以上に機密を扱うことの多い仕事です。担当する職務によっては、ほとんどが機密情報というポジションにもなりえます。そのため、機密保持に対する意識が求められます。

機密漏えいで企業や社員が損害を被るようなことがあれば、「うっかりしゃべってしまった」ではすみません。軽口を叩かない人、情報の重要性を十分理解している人など、機密情報を守れる人は人事の仕事に向いています。

物事を論理的に考えられる

人事の仕事は、規則に関することや数字に関することなど、客観的に見て判断する仕事が多くあります。むしろ、主観的な仕事はほとんどないといっても過言ではありません。

したがって、論理的に物事を考える力が必要です。冷静かつ公平であるべき人事の仕事で感情に流されることは避けなければなりません。

とくに、個々の従業員の生活や将来に関わる事柄は、論理的な思考であればこそ適切に行えるものです。

もっていると人事に有利な資格4選

人事の仕事をするうえで、もっていると有利な資格を4つ紹介します。

社会保険労務士

社会保険労務士は、企業の人事労務部門に所属するか、独立開業して社会保険や労務管理に関する仕事をする国家資格です。

かつては行政書士に内包されていた領域ですが、1968年に分離独立しています。

社会保険労務士の職務内容は、人事の仕事の多くの部分に関わります。就業規則の作成や社会保険その他労働関係の手続、労働紛争手続の代理など、人事には欠かせない内容です。

したがって、人事内部ではもちろん、独立しても出身企業、その他企業で活躍できます。

キャリアコンサルタント

比較的新しい国家資格であるキャリアコンサルタントは、改正職業能力開発促進法に基づき、2016年より創設された登録制度です。

同法30条の4第3項の規定により、キャリアコンサルティングに必要な知識、技能、経験が求められています。

人事の仕事である、社員の教育研修、能力の開発を行ううえで、キャリアコンサルティングのスキルとノウハウはおおいに役立つでしょう。

衛生管理者

常時50人以上の社員がいる企業では、必ずおかなければならないのが衛生管理者です。50人以上の拠点が複数ある場合は、各拠点に衛生管理者が必要となります。

したがって、大企業の人事には複数の衛生管理者が在籍するケースも多いでしょう。合格率が5割程度でとりやすい国家資格です。

衛生管理者が管理すべき事項は労働安全衛生法10条1項に定めがあります。

「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」「労働者の安全又は衛生のための教育の実施」「健康の保持増進のための措置」「労働災害の原因の調査及び再発防止対策」に関することなどです。

メンタルヘルス・マネジメント検定

ストレスの多い現代社会では、若年層から中堅以上の社員まで、メンタルヘルスの問題が無視できないとされています。

メンタルヘルスの問題はモチベーションのマネジメントにも影響する事柄であり、メンタルヘルス・マネジメントは企業の目的達成に欠かせないものといえます。

メンタルヘルス・マネジメント検定は、セルフケアに関するⅢ種、部下の調子に対応するⅡ種、労務管理の担当者や責任者に向けたⅠ種に分かれています。

人事での仕事に役立てるなら、Ⅱ種以上が必要です。

まとめ

人事の仕事は対人関係が重要です。同時に、職務のほとんどは裏方的なものであり、その幅も広く求められる能力やスキルも多岐にわたります。

それだけに、やりがいを感じられる仕事といえるでしょう。

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