「キャリアアップのため」「自分のスキルを他社で試したい」など、金融業界へ転職する理由はさまざまでしょう。金融業界は業界内での転職が特に多く、人の入れ替わりが激しい業界です。
金融業界の特性を把握し、自分のキャリアに合った転職を実現するためのコツをご紹介します。
金融業界ってどんな業界?業種区分とその特性
「金融業界」には銀行、証券など、さまざまな業種があります。主な業種区分けと特性について解説します。
1.銀行 ―都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、外国銀行支店、ネット銀行、信託銀行
預金受入れ、資金の貸出し、為替取引を行う金融業者です。社債の募集・委託や債務保証なども行うため、窓口担当者(テラー)から営業、決済まで幅広い職種があります。
2.証券会社 ―日系証券会社、外資系証券会社、オンライン証券会社
株や債券など有価証券の売買、取次や引き受けを行う会社です。米国や日本では「銀証分離」の政策により、銀行と証券会社の兼業は認められていません。一方、欧州では銀行による証券業務が許容されており、証券部門がある銀行もあります。
3.投資信託会社 ―国内系投信会社、外資系投信会社
投資信託(ファンド)を設定し運用する会社です。投資家の資金を管理する信託銀行などに対して運用の指図をすることが主な業務です。銀行、証券、保険、独立系のファンドがあります。
4.保険会社 ―生命保険会社、損害保険会社、外国保険会社
生命保険会社、損害保険会社、外国保険会社に分けられますが、生命保険と損害保険の両方を扱う会社もあります。国内保険市場は縮小傾向にあるため、東南アジアへの市場拡大を進めている業界です。
転職の第一歩、自分の専門分野を見極める
転職活動の第一歩は「何ができるのか、何をしたいのか」に焦点を置き、自分の専門分野を見極めることから始まります。
銀行、証券会社、投資信託会社では業務を「フロント・ミドル・バック」という分け方で呼びます。
即戦力としてスキルを活かせる部署、10年後どの分野のエキスパートでいたいか、ここでしっかりと考えておく必要があります。
・フロント: トレーダー、営業、アナリストなど収益・損失に直接かかわる部署
・ミドル: フロントのサポート業務、リスク管理など。会社によってはバックの中にミドルが入る場合もある。
・バック: 取引の決済・照合、財務、法務、監査
このほか、人事、システム部などがあります。
業界を超えてキャリアは築ける
法務、監査、システム、人事などはその分野での経験と知識があれば、一般企業から証券会社へ、証券会社から投資信託会社へなど、業種を超えてキャリアを築いていける職種です。
また、営業もその対話力や実績は評価されやすく、金融知識を備えておけば転職のチャンスが多いポジションといえるでしょう。
金融転職に有利な資格、業界で求められる英語力は?
自分の専門分野や進む方向性が決まれば、それに見合った資格を取得したり、特定のスキルを磨いたりしておくことも必要です。金融業界で有効な資格は難易度が高いものが多いため、取得に向けて計画的に取り組みましょう。
金融業界で有利な資格はこれだ!
「銀行業務検定試験」と「二種外務員資格」は銀行、証券会社で勤務する人が取得している資格です。
また、「証券アナリスト」「ファイナンシャルプランナー」は実務面でも大いに役立つ資格です。難易度は高くなりますが、金融業界へ転職するための有利な資格です。
さらに、外資系企業でグローバルなキャリアを目指す人は「米国公認会計士(USCPA)」や「国際会計検定(BATIC)」を取得すれば、金融・会計知識と英語力の証となります。
英語で広がるキャリアチャンス、資格よりも話せることが重要
必要な英語力は部署により違います。
国内、外資系ともに決済の担当部署では、会話レベルの英語力を求められます。
また、フロントもトレーダー、アナリストなど英文資料やデータを分析するため、実務レベルの英語力は必須です。
英語ができることで業務内容に幅が出て、キャリアチャンスが広がります。
英語に関する資格(TOEIC、TOEFL、IELTS)はもちろん、業務に関する英単語や英会話力をつけておくことをお勧めします。
転職活動開始! 業界動向を知って戦略的に動く
あらゆる金融情報に注目を
金融業界への転職は「情報」がキーポイントです。
国、政治、産業別の情報が常に絡み合いながら、金融市場を動かしています。世界のニュースに注力し、金融市場や動向を分析することで「米国大手金融が日本の富裕層ビジネスを強化する」「市場撤退により業界内の人が動く」など、転職のタイミングを読み取ることもできます。
では、実際にどこで採用情報を知るのか? 大きく分けて3つの方法をご紹介します。
・インターネット転職・求人検索サービス
・企業サイトの採用ページにある情報
・転職コンサルタント
プロの情報・アドバイスに勝るものはなし
前者2つは「転職希望者が自主的に応募する」経路のため、すでに自分の専門部門を絞り、業務内容をよく把握している人に向いています。一方、転職コンサルタントを通じて応募する方法では、金融業界に精通したプロのアドバイザーが、求人企業や部署が求める人材・経験を熟知したうえで、適材適所の人材を探していきます。
プロのアドバイスにより、自分の持つスキルの市場価値や、新たなキャリアの可能性を発見することもあります。
また、自主応募では知ることができない企業の非公開求人情報を得られることもあります。金融未経験者はもちろん、金融を目指す人には「豊富な情報と的確なアドバイス」が、その先の面接を勝ち抜く勝因となるでしょう。
お金は24時間ノンストップで世界の市場を駆け巡ります。金融業界はそれを担うダイナミックな環境が魅力の業界です。信頼できるプロのアドバイスを借りて、世界につながる舞台でキャリア・アップを目指してください。
参考:
免許・許可・登録等を受けている業者一覧 金融庁
金融機関の種類 金融知識ガイド-iFinance
資格の取り方 金融-資格難易度ランキング