IDC Japanによると、2016年の国内IT市場規模は2015年の成長率3%には届かないものの前年比1.4%増の14兆7653億円だと予測しています。微増ながらプラスに転じています。
IoTやビッグデータの解析、フィンテック、人工知能(AI)などで注目を集めている現在は、さらに市場が拡大しているとみられます。
「IT業界で働きたい!」というあなたに、IT企業内で記者をしていた私が業界の実態と採用されやすい人物像を解説します。
【目 次】
IT業界は超激務!?
IT業界というと残業、徹夜というイメージがあるかもしれません(?)が、必ずしもそんなことはないようです。
「大手企業ならばおおむね残業時間は月間40~60時間。追い込みにより一時的に忙しくなっても、まとめて長期休暇が取れたりします」(IT企業経営者)。激務や過度な残業を避けるなら、比較的大手の企業を選んだ方がよさそうです。
IT業界は慢性的な人手不足。文系出身者でもチャンスあり!?
IT企業に転職するには、理系じゃないと......と思っていませんか?
実は文系の人にも多くのチャンスがあります。
実際、多くのIT企業の募集職種を見てみると、必ずしもエンジニアばかりということでもありません。営業やマーケティング部門、管理部門などで多くの人が働いています。
文系出身者がIT企業で働く際のポイントは、「咀嚼力」。
顧客や取引先が必ずしも理系のエンジニアとは限りません。難解なIT用語を相手が理解しやすい用語に噛み砕いてして伝える能力が必要です。
例えば、営業マンが顧客の経営層にプレゼンしたり、広報担当者がプレスリリース原稿を作ったりする時に、この「咀嚼力」は必須スキルになります。
咀嚼力を身につけるには、普段からITエンジニアとのコミュニケーションを通じて、自分自身が他者に説明できるようになるまで理解を深めたり、IT業界のニュースや書籍をよく読んだり、セミナーに積極的に参加することが必要でしょう。
その土台となるインプットが重要になります。
業界未経験者でもITエンジニア以外の職ならOK!
ITエンジニア職だと、未経験の方がスクールに通って資格を取得しても、採用される可能性はそこまで高くはならないようです。
しかし、IT業界未経験者でも企画職、マーケティング職、営業職のほか、経理職、人事職、総務職などの本社基幹部門の経験があれば問題ありません。
中途で重視されるのは実績と人柄
ITエンジニアは新卒なら未経験者を採用しますが、中途採用は"実績"と"人柄"重視のようです。
とある大手IT企業担当者によると、中途採用の場合はアサイン予定の業務に直結する資格があれば、「より望ましい」そうですが、資格の有無よりも重視するのは"人柄"や"コミュニケーション能力"。
「技術もさることながら、人をまとめるリーダーシップを重視します」ということです。
マネジメント能力としては、「工程進行管理という『時間の管理』と、適切なミッションを部下に与え、やる気を引き出す『人の管理』が重要」と、IT企業経営者は言います。
ITエンジニアにとって資格は、転職の際にスキルを裏付ける証拠にはなりますが、やはりプロのビジネスパーソンとしてのソフトスキルが必要ということがいえそうです。
転職の際に必要とされるスキルとは?
次に、ITエンジニアにとって、転職の際に業務のスキルのほかに要求される知識やスキルをご紹介します。
今後はIoTやAIの知見がある人はより有利でしょう。今後、IT業界だけではなく、さまざまな業界をまたいでIoTやAIに関連した業務が増えると思われます。
普段からITに関するトレンドや動向を幅広くキャッチできる情報収集力は地味ですがライバルと差をつける必須のスキルとなるでしょう。
また、マーケットのグローバル化により、英語も必須の能力となっています。
某大手企業のように社内の公用語を英語にするIT企業も出てくるかもしれません。AIによる自動翻訳・通訳などが完成したとしても、コミュニケーションにおける英語力は高ければ高いほど有利になります。
ITエンジニアにはIoTが進む大手からもスカウトが!
各社がこぞって技術開発を進めるIoT。情報通信産業以外にも家電、住宅設備、自動車などの製造業を中心に盛り上がりをみせています。
ITエンジニアにとってこれらの業界は有望な転職先といえるでしょう。
各業界では、「勝機だ!」と盛り上がって実際にさまざまな分野で商品化も進んでいますが、総務省の調査によると、IoTの促進に係る課題として、日本では他の国と比較しても「人材育成」の比重が高くなっています。
つまり、IoTは各企業にとって勝機であると同時に、「ITエンジニアが社内に不足している」という大きな課題を持っているといえます。
これからIoTの分野においては、知識やスキルを持ったITエンジニアの市場価値はますます向上し、猛烈なスカウト合戦が始まっていくことでしょう。
ここまでお読みいただいて、「そもそもIT業界って何?」 とお思いになった方もいらっしゃるかもしれません。
従来の産業構造においては製造業や金融業のように、「業界」という枠がありました。
しかし、ことITにおいてはその範囲はすでに業界という枠を超えてすべてのビジネスにまたがるビジネスインフラといっても過言ではありません。あらゆる業界でITスキルのある人材は奪い合いになっており、常に人材が不足しています。
文系の人も業界未経験の人も、キャリアアップを検討されている方は、転職に一歩踏み出してみませんか?
ITエンジニアなら実績とコミュニケーション能力。文系出身者なら咀嚼力がある人材が求められています。IT業界未経験の方もこのようなスキルがあるならば、業界未経験自体は問われません。
今の勤務先で十分実績を積み、キャリアに自信があるあなた、「人気企業に転職したい!」「自分をもっと成長させたい!」と思っているならば、まずは転職のプロに相談してみましょう!
あなたのキャリアの棚卸しの相談や、あなたに合った企業の紹介など、専任のキャリアコンサルタントから転職を有利に進めるためのサポートを受けることができます。
参考:
総務省 平成28年版 情報通信白書 IoT進展に係る課題
IDC Analyze the Future