ネットリテラシー教育が今重要な理由
具体的な教育方法・ポイントも解説

ネットリテラシー教育

パソコンやスマートフォンの普及によってインターネットを使用する場面が増え、ネットリテラシーを向上することが重要になっています。そこで、新入社員などに向けて、ネットリテラシー教育を検討している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ネットリテラシーとは何か、ネットリテラシー教育が重視される背景、ネットリテラシーの低さが招くリスクなどを解説します。ネットリテラシー教育を行ううえで、知っておきたいポイントや教育方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

ネットリテラシーとは?

ネットリテラシーは「インターネットリテラシー」の略で、インターネットの便利さ、脅威やルールを理解し、適切に使用するための能力のことです。仕事あるいはプライベートでの利用にかからわらず、適切なインターネットを利用するための必要なスキルといえるでしょう。

ITリテラシーとは?

「ネットリテラシー」のほかに「情報基礎リテラシー」「コンピュータリテラシー」を含む3つで構成されるものを、「ITリテラシー」といいます。

「ネットリテラシー」は、インターネットを適切に扱う能力であり、「情報基礎リテラシー」は、情報収集や発信などを適切に行うための基礎的能力のことです。また、「コンピュータリテラシー」は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのコンピュータ機器を扱う能力のことです。

ネットリテラシー教育の重要性が高まる背景

パソコンやスマートフォンなどのコンピュータ機器、SNSなどの普及は、私たちに便利さをもたらしました。その一方で、軽い気持ちで行ったSNSの投稿が社会問題となり、会社へ大きな損害を与えるケースも出ています。

仕事でもプライベートでもインターネットの利用は避けて通れない時代、このようなインターネット上のトラブルを避けるため、ネットリテラシー教育の重要性は、非常に高まっているのです。

ネットリテラシーが低いことでどんなリスクがある?

ネットリテラシーが低いと、さまざまなトラブルにつながる可能性があります。ネットリテラシーが低いことによっておこうるビジネスシーンのリスクを以下で解説します。

企業の機密情報・顧客情報などの流出

1つ目のリスクとしてあげられるのは、会社の機密情報や個人情報などの流出です。インターネットを通じてこれらの情報が流出し、企業の信頼が損なわれたり、多額の賠償金を請求されたり支払ったりすることもあります。

ただし、情報流出の危険性はネットリテラシーの低さだけによるものではありません。セキュリティの不十分さ、USBなどを従業員が情報を持ち出すことで流出するケースもあります。リスク回避のためには、ネットリテラシー教育はもちろん、セキュリティ対策や情報管理に関する教育を行うことも大切です。

著作権・肖像権の侵害

2つ目のリスクは、著作権や肖像権の侵害です。インターネット上には、誰でも簡単に見られるものであっても、著作権や肖像権があるものが多くあります。ほかのWebサイトから文章や画像を無断で引用することで著作権を侵害したり、許可なく写真をアップして肖像権を侵害する恐れがあります。

企業のSNSアカウントの炎上

3つ目のリスクは、SNSアカウントの炎上です。企業が運用する公式SNSアカウント、または従業員個人のSNSアカウントからの不適切な投稿が世間の目に留まり、いわゆる炎上騒ぎになることが近年よく見受けられます。インターネット上へ投稿した情報は、あっという間に拡散され、その後もその情報を完全に消すことはできません。

悪質な攻撃・ウイルス感染にあう可能性

4つ目のリスクは、悪質な攻撃やウイルス感染の可能性があることです。従業員のネットリテラシーの低さは、セキュリティの甘さにつながります。不用意にメールの添付ファイルを開いたり、不審なURLにアクセスしたりすることで、外部からの悪質なハッキングやウイルス感染にあい、トラブルにつながる場合もあります。

社員の個人情報の悪用

5つ目に挙げられるのは、従業員の個人情報が悪用されるリスクです。企業の公式SNSアカウントや、従業員の個人SNSアカウントへの文章や写真の投稿から、従業員や顧客の個人情報が特定されることもあります。スパムメールや不審なURLを開くことでウイルスに感染し、個人情報が流出して、悪用されるケースもあるので注意しましょう。

ネットリテラシー教育を行うときにおさえておくポイントは?

ネットリテラシーを高めるために教育をする際、どのようなポイントをおさえる必要があるのでしょうか。ここでは、ネットリテラシーを高める教育をする際におさえるべきポイントを解説します。

世代間の感覚の違いを理解する

子どものころからインターネットに触れてきた若い世代と管理職世代では、インターネットの利用に関する感覚が異なります。ネットリテラシー教育を行う際は、世代間の感覚の違いを理解したうえで研修を行うことが大切です。

新人だけでなく上司も学ぶ必要がある

コンピュータ機器の利用に長けていることと、ネットリテラシーの高さは必ずしも比例しません。新人や、社会人歴の短い若手社員へのネットリテラシー教育は大切です。しかし、ネットリテラシー教育は、IT系の部署や新人だけに必要とされている教育ではありません。

現代は、業種に関わらず仕事でインターネットを使う機会が非常に多いです。そのため、管理職も若手社員とともに学ぶことが必要です。

自らで考え行動にうつせる研修にする

ネットリテラシー教育の内容は、「自分で判断するための知識を身につけられるもの」であるとよいでしょう。若手社員とはいえ、情報を受発信するたびに上司の確認をとることは現実的ではありません。そのため、自分で考え内容を判別し、どのように対処すべきか判断する能力をつけられる研修内容であることが必要です。

中長期的な視点で行っていく

育は、一度実施しただけで終わるものではありません。新入社員に対して入社時に研修を行うだけでなく、定期的な勉強会を実施するなど、ネットリテラシー向上のために時間をかけて取り組んでいく必要があります。

ネットリテラシー教育の具体的な方法

ネットリテラシー教育には、どのような方法があるのでしょうか。以下で紹介します。

具体的な事例をあげてリスク周知する

ネットリテラシー教育を行う際は、概念を伝えるだけでなく、具体的な事例をあげることが大切です。

SNS上で自分の情報を不用意に公開することで、勤務先が特定され、会社や取引先に迷惑がかかる可能性があるなど、具体的な事例からリスクを身近に感じることができれば、より理解が深まります。また、過去の事例などをふまえた解説や、ディスカッションを取り入れるのもよいでしょう。

SNS利用に関する社内ガイドラインを策定する

同じネットリテラシー教育を受けていても、人によって理解度は異なります。また、会社としてどのようにSNSとつきあっていくのか、従業員一人ひとりにきちんと理解してもらう必要があります。会社の方針と個人のSNS利用に対する姿勢を整えるためには、ガイドラインを策定することが必要です。

ガイドラインを策定する際は、SNSの運用部門が中心となって社内外にヒアリングを行い、法務や総務の意見を取り入れたものにします。ガイドラインの内容は、SNSの使い方など基本的なものから、炎上事例、リスク回避の方法、トラブル時の対処法や責任の所在まで記載し、具体的かつ分かりやすい内容であることが望ましいです。

会社用PC・携帯・スマホに関する規定を作る

会社用PCや携帯・スマートフォンを従業員に貸与する場合は、それらの使用に関する規定を作る必要があります。具体的には次のような制限や注意があるとよいでしょう。

・会社のネット環境から、個人SNSへの投稿・メールの送受信をしない
・個人のSNSアカウントから、業務に関する内容や顧客についての情報などを投稿しない
・個人のスマートフォンに業務についての情報が残らないよう、業務中は会社支給のスマートフォンを使用する
・会社用PCやスマートフォンに、無断でアプリをダウンロードしたりインストールしたりしない
・会社用PCを無断で持ち出さない、持ち出す際は管理をしっかりする

まとめ

ネットリテラシーは、情報漏洩などのリスクを回避し、インターネットを適切に利用するために重要な能力です。全社員へ向けて定期的な教育が大切です。

今勤務している企業においてだけでなく、転職をする場合も注意しましょう。どの企業であっても、ネットリテラシーが欠如している人材は歓迎されません。情報漏えいにあたる行為にならないか、常に気を付けて行動するようにしましょう。

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