就職や転職活動をするなかで、「ネガティブチェック」という言葉を聞いたことはないでしょうか?しかし、ネガティブチェックのイメージはできても、具体的に何をチェックされるのか、わからない方も多いでしょう。この記事では、面接時のネガティブチェックについて、概要や目的を解説します。ネガティブチェックに引っかからないコツもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ネガティブチェックとは
ネガティブチェックとは、マイナスとなりかねない要因を前もってチェックすることです。文章の校正や台詞の見直しをはじめ、面接・面談の会話や振る舞いを見て、発言や態度に不適切な表現がないかをチェックします。
就職や転職におけるネガティブチェックは、面接者にあえて答えづらい質問をして、反応を見極める手法のことをいいます。ネガティブチェックでは、筆記試験やエントリーシートではわからない、自社との協調性や適応力の有無、社風とのマッチングを見抜きます。
答えづらい質問をされると慌ててしまったり、焦ったりすることもありますが、事前にネガティブチェックの意味や、どのような質問があるのかを把握しておけば、十分に対策を取ることができます。
面接でネガティブチェックを行う理由
転職時の面接でネガティブチェックを行う理由は、仕事に対するストレス耐性や周りとの協調性などに問題がないかを判断するためです。グループ面接で確認される傾聴力や、他者との比較によるプレッシャーなどでネガティブチェックが行われます。
企業は採用基準を設けており、書類選考や筆記試験のほか、ネガティブチェックも行うことで、総合的に判断して採用するかどうかを見極めています。主に会話力や言葉遣いで判断されますが、態度や表情など、見た目の印象もチェックポイントに含まれています。
ネガティブチェックでは何を見られている?
ネガティブチェックでは、身だしなみや会話、振る舞いなどがチェックの対象となります。ここでは、具体的にどこを見られているのかを解説します。
身だしなみ
服装や髪型といった身だしなみは、相手の第一印象を決める重要なポイントです。
・スーツやシャツにシワがないか
・衣類にシミやほつれは見当たらないか
・髪型が整えられているか
整えられていない身だしなみは、マイナスの印象につながります。面接の場に限らず、社会人としてのTPOをわきまえた格好や、清潔感のある格好を意識しましょう。
会話の内容
質問の受け答えで要点がまとまらず、冗長な話し方はネガティブな印象を与えます。会話を進めるときは、まず「結論」を述べ、その後に「理由・原因」を述べる話し方を意識しましょう。
また、一方的に話し続けることも、よい印象を与えません。会話では、自分が1分以上話し続けると相手に「話が長い」と思われます。自己PRや質問への回答の際は、伝えたい要点を話すようにしてください。
会話の内容は「前職の愚痴」や「給与の金額ばかりを質問する」といった言動を控え、「前職で経験した有益なプロジェクトの話し」や「自分のもつスキルの活かし方」など、前向きな内容にすることを意識しましょう。
表情
見た目でのネガティブチェックには「表情」も含まれます。笑顔で挨拶をすることは、ビジネスに限らず、人と接するうえでの基本です。挨拶がない、表情が暗い、無表情ではマイナスの印象につながります。会話の最中は、相手の目を見て話すこともポイントです。目を合わせて話すことが苦手という方は、相手の鼻の頭や、おでこのあたりを見て話すとよいでしょう。
話し方・言葉遣い
ネガティブチェックでは、敬語や丁寧語などの言葉遣いや話し方もチェックされています。友達と話しをするような口調や「〇〇ですねー」といった語尾を伸ばすのもよくありません。また、質問の回答に困ったときに、「あの、その」「えーっと」といった言葉が多いと、話しの流れが途切れて聞こえ、よい印象を与えません。
また、声の大きさや滑舌もネガティブチェックのポイントです。会話をする際は、焦らずにゆっくりと話してかまわないので、大きな声でハッキリと伝えましょう。
振る舞い
姿勢が悪い、会話中に視線が泳ぐといった態度は、周りから見たらよい印象ではありません。このような面接中の振る舞いも、面接官はしっかりチェックをしています。椅子に座る際は姿勢を正し、話す相手の目を見て受け答えをしましょう。無意識に爪を噛む、貧乏ゆすりをするといった落ち着きのない行動も、マナー違反にあたるので注意しましょう。
そのほかに注意すべき点
意外と自分では気づきにくい点が「におい」です。よいにおいでも、においが濃すぎると周囲にとっては悪臭と思われかねません。面接前はもちろん、前日に、においの強い食事をするのは避けるようにしましょう。香水も人によって好き嫌いが分かれるので、つけないほうが無難です。
また、時間にルーズな人も、ビジネスマナーがなっていないと判断されます。面接時間に遅れないのは基本ですが、早く着くのも避けてください。訪問先には、早くても5分前の訪問を心がけましょう。
面接のネガティブチェックで落とされない答え方
次に、ネガティブチェックとして聞かれる質問と、それに対する適切な回答例を見ていきましょう。
ネガティブな回答はしない
ネガティブな回答は「仕事の不満が多い」「社会人としての資質がない」など、面接官に悪い印象を与えます。面接官は、面接者が実際に仕事をしたときに、どのような反応を見せるのか、質問を通して確認しています。どのような質問や状況でも、ネガティブな回答にならないようにして、臨機応変に落ち着いた態度で対応できる姿勢をアピールしましょう。
ネガティブチェックの質問と回答例
【例1】
質問:「転職した理由を教えてください。」
回答例:「前職では個人の成果が重要視されるばかりで、チームで協力する姿勢がありませんでした。そこで、自分は個人ではなく、チームで成果を出すことにやりがいを感じるタイプなのだと再確認しました。御社は、チームワークを重視し、協調性のある人を求めていると拝見しました。ここでなら、自分の強みを発揮して、業務に貢献できると考え転職にいたりました。」
転職理由は、「よりよい環境を求めていること」に言い換えることが可能です。
【例2】
質問:「あなたの短所はなんですか?」
回答例「私の短所は、心配性であることです。そのため、早めに確認作業を行う、事前に段取りをしっかり行うなどの工夫を心がけています。」
短所は自分で理解し、対策を講じている姿勢があることを伝えましょう。
ストレス耐性の質問には強がらない
企業としては、仕事や人間関係などによるストレスで退職に至るのは避けたいと考えています。ストレス耐性がないと、コミュニケーションに支障が出たり、体調不良に陥りやすかったりする可能性があります。ストレス耐性の質問は、そのような入社後のミスマッチを防ぐための判断材料のひとつとして行われています。
ストレス耐性の質問と回答例
【例3】
質問:「クレームなどのトラブルには、どのように対応をしてきましたか?」
回答:「前職の販売業では、商品へのクレームがあった場合、まずは謝罪、それから現物とお客様のご意向の確認を実行しました。多くの場合は、早急な商品交換を行うことで、怒りを解消できましたが、交換が難しい場合でも、代替品や次回購入時に割引するといった提案を行いました。」
たとえ自分のミスではなくても、謝罪をしたうえで具体的にどのように対処するかまで答えるのがポイントです。
【例4】
質問:「ストレス耐性はありますか?」
回答:「ストレスには強いほうではないと思っております。そのため、休日はジムに行ってリフレッシュするなど、ストレスを解消するように工夫しております。」
誰でもストレスは感じるものなので、ストレスに強くないことを答えるのは問題ありません。この場合は、ストレスを感じたときにどのように解消しているかをチェックされます。
答えづらい質問でもポジティブに回答
面接で行われるネガティブチェックは、あくまで面接の手法のひとつになります。面接官の中には、あえて答えづらい質問をしてくる人もいます。
そのときに「面接官に意地悪をされている…」と悲観的になったり、焦って会話が滞ったりしないようにしましょう。ネガティブチェックをされたときでも、落ち着いてポジティブな回答をすることが大切です。
答えづらい質問と回答例
【例5】
質問:「転職回数が多いですが、理由はなんですか?」
回答:「新卒で入社した1社目の当時は、仕事に対して深い考えもなく、無計画に転職をしてしまいました。2社目と3社目で経験した営業職でマーケティングの重要性に気づき、より深い仕事をしたいと考えましたが、どちらの会社にも独立したマーケティング部門はありませんでした。御社のマーケティング部門では、これまでの営業力と現場で培った経験を活かして貢献をしたいと考えております。」
企業は、入社後に前職と同じ理由で退職されるのを避けたいと考えます。そのため、これが最後の転職であることを伝えるのがポイントになります。
【例6】
質問:「現在のお給料はいくらですか? 希望の年収はいくらですか?」
回答:「現在の年収は〇〇万円です。希望年収は、現在と同等以上を希望しております。ただし、基本的には御社の給与規定に従います。」
給料について聞かれた場合は、正直に答えます。希望年収は、能力や経験、年齢を踏まえたうえで希望の金額を答えましょう。応募先の企業の求人に金額が記載されていれば、その範囲内で回答するのが無難です。
まとめ
就職や転職の面接では、ネガティブチェックをされることがあります。チェックされていると意識すると不安になりますが、意図や聞かれる内容を理解していれば、緊張や不安も軽減することができます。この記事を参考に、ぜひネガティブチェックを乗り切ってください。自力での面接対策が不安な場合は、転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。
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