あるサイトの調査によると、転職について9割の方はだれかしらに相談していますが、1割は誰にも相談しないそうです。
相談レベルがどの程度なのかは不明ですが、相談相手の過半数を占めるのは家族や友人であり、次が転職エージェントの17%、そして同僚、上司という順番になっています。
この順番は、私としてもうなずけます。
最近、ネットや書籍で転職に関する相談や悩みについて調べていますが、ほとんどの記事は相談ありきで話が始まっています。
しかし私は、そもそも相談をしないという1割強を占める方たちに非常に興味をもちました。
転職の相談をしない方たちには、必ず理由があると思ったからです。
私の結論
転職について誰にも相談しないという選択に対する、私の結論は
全面的に支持
です。
では私がその結論にいたった理由を書きます。
転職の相談に関する情報を整理してみた
相談内容から分類すると、転職に関する悩み系の相談と職種や会社、地域などについての情報収集系の相談の2つに分類できそうです。
自分の職歴、転職歴、スキル、家族構成、希望年収、希望する仕事や会社の将来性などについての相談は、情報収集系の要素もあります。
しかし、ベースに個別の悩みをかかえている場合がほとんどなので、悩み系の相談の要素があります。
すると、転職に関する相談は、大多数が悩み系の相談であることがわかるので、この分類はあまり意味がありません。
むしろ相談内容からの分類の方が有効です。
・全面的に支持
・どこに相談すべきか
・相談方法
・転職をするべきか
・手続きについての質問
・個別の各種相談内容
などに分類できるかと思います。
私は最近、転職の相談に関する書籍やネット上の記事を読みあさったり、現場のコンサルタントに話をうかがったりしました。
そして、書籍やネットそれぞれに、ある傾向があることがわかりました。
書籍の場合は、転職とか就職というテーマについて、多角的に俯瞰できるものが多く、転職希望がない私にも面白く読めました。
書籍からは得る物が多いので、転職を考える方は違った著者、違った内容のものを何冊かお読みになることは、とても役に立つと思います。
一方、ネットからの情報ですが、検索ベースで言うと、転職のマーケットがかなり成熟していることもあり、悪く言うと、旅館の客引きのように転職エージェントのお店が乱立している印象です。
旅行にいって、どこに宿泊するかという話にたとえると、好みや目的によって、規模も外観もすばらしく思えるグランドホテルに泊まるか、隠れ里のような純和風の落ち着いた旅館を選ぶか、ロッジのようなところを選ぶかとなります。
このネットの状況をみると、初めての方は、どうしたらよいかわからず、あれこれと調べることになるかもしれません。
もちろんネットからの情報も役に立ちます。
仕事情報はもちろんですが、履歴書や職務経歴書のフォームが得られたリ、マナーや手続き的なことを確認するには十分な情報を得ることができると思います。
しかしあなたの転職のすべてのプロセスに関して、カバーしているかというと、かなりの疑念が残ります。
次に、ネット上のお悩み系サイトである、Yahoo!知恵袋や教えて!Goo、これらを私はさんざん読んだのですが、やはりある種の傾向を感じました。
私の感想は、非常にまじめにしっかりとした回答が多いということです。
それは、あたかも、家族が転職を考えたときにアドバイスするような内容であることが多く、職歴のたな卸しが出来ていなかったり、現在の仕事が嫌で転職を考えたりしている相談者には、厳しいアドバイスをしています。
総じて、とてもまっとうな内容であり、転職については、慎重にすることを勧め、転職を止めることが多い傾向があります。
決定的に欠けているのは転職の相談をするなというアドバイス
このように、書籍にしてもネットにしても、それぞれ面白いのですが、私には、なにかが欠けているというふつふつとした気持ちが生じてきました。
しかし、それがやっとわかりました。
つまり、これらの書籍やネットには、転職の相談をするなというアドバイスが欠けているのです。
これに気づいたときに、私の頭のなかの欠けたパズルが完全に埋まりました。
そして、初めに戻りますが、転職の相談を誰にもしない人が1割以上もいるという理由もわかったように思います。
どうして転職の相談をしないことが良い場合があるのか
この答えは、転職の相談をすることがマイナスにしか働かない場合が多々あるからです。
たとえば、相談相手が会社の同僚であれば、現在の会社に基本的に満足しているわけなので、引き留めるに決まっています。
家族であれば、あなたがよほどのブラック企業にいるとか、見るからに辛そうででもない限り、引き留めるでしょう。
つまり、基本はリスクを取らずに現状維持を勧めます。
これは相談相手が悪いのではなく、人間の保守的な側面です。
しかし、あなたの転職への意思が確かなものであれば、振り切って行くに決まっているし、あなたの人生を誰も決めることなど出来ないので、この相談はお互い時間の無駄ということになります。
そもそも、人に何か教えるとかアドバイスを受けたり与えたりすることに、私はあまり意味を感じません。
つまり、誰でも自分の経験、知識以上のことは絶対に言えないし、最良のアドバイスであっても、「あなたも私のようになりなさい」が限界だからです。
個々の状況は当然ちがうわけですが、同じような状況を経験した方からのアドバイスは有効に思える場合もあるだろうし、そうでなければ、ほとんど響かないアドバイスとなるでしょう。
もし、あなたの転職が5回目だとすると、5回以上転職をした人からしか本当の意味でアドバイスなど貰えないと思います。
まして転職をしたことがない人のアドバイスは、その方がコンサルタントの資格をもっていたとしても、あなたの心に響くことはまずないと思います。
ちょっと飛躍しますが、生物が母なる海から地上に上がって生活しようと思った時、人類が安全な森を離れて危険な平地に移ろうとした時、もし相談して止めるアドバイスに従っていたら現在の人類はいないのです。
また、もともと日本人は、アフリカから最も離れた土地まで移動し、農耕民族として定住した、いわば転職の達人です。
南方系であれば、早い海流で命を落とす危険も顧みずに、粗末な舟をつかって命がけで渡ってきたのです。
何が私たちの先祖を動かし、こんな遠方の地までいたらせたのかを考えてみましょう。
それに比べると、転職は小さな冒険かもしれません。
当然、起こりえるリスクは覚悟の上であれば、誰にあなたを止められるでしょうか。
転職をするかしないか、どの仕事を選ぶかということは、あなただけが決められる特権なのです。
このせっかくの特権に余計な夾雑物をあえて入れる必要があるでしょうか。
こうした理由から私は、誰にも転職の相談をしない方たちを勇者として尊敬します。