転職したいと思っても迷いがあり、相談したりアドバイスを受けたりしたいということもあると思います。
転職に限らず、悩みの解決のため、相談やアドバイスを求めることは自然な心理です。
もしかすると、ネットで検索をしたりすると似たような悩みを持った、共感できる人も見つかるかもしれません。
ここでは、そもそも転職の相談やアドバイスを受けることに意味があるのかという根本的な問題まで、掘り下げて考えてみたいと思います。
ただ、初めに私の結論から言えば、この設問に対する答えはない、ということになります。
つまり、意味があるかどうかを決めるのは、あなた自身であり、答えも本当はあなた自身がすでに持っている場合がほとんどであるからです。
具体的なケースをいくつか考えてみましょう。
【目 次】
そもそも自分の適職(何がやりたいか)がわからない
これは適職とは何かという話にもなります。
適性検査を信じるのであれば、それもいいでしょう。
しかし、適性検査はあくまで、主観的かつ表面的な現状判断にすぎないことは認識しておきましょう。
これは、世の中で成功した人たちを調べてみればわかります。
適性から外れたと思われるような選択で成功した人がいかに多いか、または誰がどう見ても相性が最悪に思える夫婦が長年連れ添っているかということです。
あなたの転職の希望が現状の仕事内容にあるのであれば、もう一度、なぜそれが嫌で向いていないと判断したのかをよく考えてみましょう。
また、自分が何をやりたいのかわからない場合、知識や経験の圧倒的な不足である場合が多いと思います。
その場合は、ひとまず経歴や経験から普通に考えられる常識を一旦取り去って考えてみると良いと思います。
たとえば、いい大学をでたから、名の知れた大企業で働くべきだとか、もっと給料の良い会社で働くべきだといったことです。
そして、出来るだけ多くの本を読み、人と話し、旅行をするなど、可能な限りの努力を集中的にしてみましょう。
そうして自分で行動し考えて見出すことこそ、本当に価値があり、アドバイスを受ける場合にも的確な質問が出来るようになります。
安心と保証を得るために他人の意見を聞きたい
このケースも潜在的な欲求として非常に多いと思います。
問題は、あなた自身にその自覚がない場合です。
もしかすると、あなたは現在の仕事の過酷さとか残業が非常に多いとか仕事にやりがいがないとかの話をし、「そのような状況であれば転職した方がいい」という意見やアドバイスを得たいだけかもしれません。
しかし、コンサルタントが転職理由をお聞きするのは、あなたの特性を知り、あなたに合う会社や仕事を紹介するためなのです。
最終的に転職するかどうかの決断はあなた一人にかかっているのです。
家族への相談は生活に直結するので、少し、意味が異なりますが、この場合でも本質的には同じです。
この場合、多数の意見を聞くのは一見すると良いように見えますが、あなた自身がどこまでも比較検討ばかりしていて、自分の意見がもてないのであれば、むしろ相談をすべきではありません。
もう一度、現在の仕事に真剣に取組んでみて、自分を見つめなおす必要があると思います。
転職先の業界も仕事も決まっていて良い会社を探したい
この場合は、相談そのものが必要ありません。
あらゆる手段を使って、希望をかなえてください。
現在の会社にも転職先の会社にも迷惑をかけたくない
このどちらにも良い顔をしたいという相談も多いです。
円満退職という形を作るのは大事ですが、あなたの本心はどうですか?
正直言って、誰にも迷惑をかけない円満退職など実際にはありません。
もし、私が身近な人からこうした相談を受けたとしたら、「そう思うんだったら転職をするな」と言うと思います。
ここは、あなたが「いい人」になるべきポイントではありません。
あなたが明確な決断をし、決然とした態度でことを進めることが、本当の気づかいでもあるのです。
仕事が原因で体調を崩したり、さらにそれが原因で人間関係に影響が出たりした場合
世の中には、あなたが思っている以上にあなたの状態に理解がある人たちがいます。
それに頼って相談してみましょう。
以上、たった5つの例ではありますが、共通しているのは、転職についての相談やアドバイスに対する答えを、すでにあなた自身が持っているということです。
あなたが自覚していなくても、答えは必ずあなた自身が持っています。
だから、本当は、だれもあなたにアドバイスなど出来ないのです。
転職についての相談やアドバイスに意味を与えるのは、あなた自身なのです。
日常的な情報の取捨であれば、それは相談というよりは情報収集であり、テクニカルな方法論となります。
テクニカルな方法を知りたい場合は、相談ではなく、まず自分で調べられる限り調べてみましょう。
人は想像以上に思考の幅と深さをもっているものです。
あなた自身にご経験があるかどうかわかりませんが、困ったときに、意外な人に助けられたという話は非常にたくさんあります。
なので、過度な期待をせずに、しかし周りの人を頼って、相談いただければと思っています。