新型コロナで変化する転職市場
需要が伸びる業界・企業が求める人材とは?

コロナ 転職

転職を検討しているものの、新型コロナウイルスの影響でなかなか一歩を踏み出せないという方もいるのではないでしょうか。この記事では、コロナ禍で行う転職活動のポイントなどをご紹介しています。

また、新型コロナウイルスによる転職市場の変化、影響の大きな業界・影響を受けにくい業界、今後の転職活動のありようや求められる人物像などについても解説しています。ぜひお役立てください。

新型コロナウイルスが転職市場にもたらした影響

新型コロナウイルスは、2019年12月に中国湖北省武漢市で感染が明らかになった後、瞬く間に世界各国へ広がりました。日本でも緊急事態宣言が出されるなど、感染拡大防止の取り組みが行われ、社会や経済だけではなく、転職市場に大きな影響をおよぼしました。

転職市場は「売り手市場」から「買い手市場」へ

しばらく「売り手市場」の様相を呈していた転職市場は、新型コロナウイルスによる世界規模の経済活動の停滞により、「買い手市場」へと変貌を遂げました。また、マンパワーグループが雇用主に行っている雇用予測調査では、世界的にも多くの雇用主が労働市場の回復には予想以上に時間がかかると考えています。しかし、経済回復にむけて多くの企業が取り組みを始めているもの事実です。今後は、従来の働き方をそのまま踏襲した経済活動の再開ではなく、柔軟な勤務形態など新しいワークモデルによる再開を目指しています。

※参考:雇用予測調査 グローバル版(2020年第4四半期)マンパワーグループ株式会社

有効求人倍率の低下・求人数の減少

厚生労働省の発表した「一般職業紹介状況(令和2年11月分)」によると、この1年で有効求人倍率は急下降しています。令和2年1月の有効求人倍率が1.57倍であったのに対し、11月には1.09倍と大きな差が生まれ、月間有効求人数も減少しています。これは、令和2年4月に出された緊急事態宣言によって人々の外出が制限され、経済面にも大きな影響をうけました。

その結果、幅広い業種・業界で採用活動の見送り・縮小などがあり、雇用面でも大きな打撃となりました。

※参考:令和2年 参考統計表1 厚生労働省

早期希望退職者を募る企業の増加

経済活動の停滞によって、これまで業績を伸ばしていた大手企業が破綻するケースも相次ぎました。また、事業縮小や雇用調整などのコスト削減に向け、早期希望退職者を募る企業が増加している現状があります。

失業者・転職希望者の増加

コロナ禍における失業者の増加も懸念材料のひとつです。総務省統計局が発表した「労働力調査(基本集計)」によると、令和2年11月の完全失業率は2.9%で、1月の2.4%から増加をみせています。完全失業者数としても10ヶ月連続の増加で、打撃を受けている業界や企業では今後を不安視して転職を希望する方も少なくありません。

※参考:国内統計:完全失業率 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響(新型コロナウイルス感染症関連情報) 労働政策研究・研修機構(JILPT)

※参考:2020年(令和2年)労働力調査(基本集計)11月分結果  総務省統計局

求職者の転職希望条件の変化

求職者の転職希望条件にも変化が起こっています。リモートワークや在宅勤務など、通勤を必要としない、コロナ禍における働き方が可能であることや副業が可能な企業、長く安定的に働ける企業を希望するケースが目立つようになっています。

オンライン面接の導入

フレックス制度やテレワークなどが積極的に導入されたことにともない、採用面接にオンライン面接を導入する企業も増加しています。遠方から優秀な人材を効率的に採用できるなど、企業側にもメリットのある採用方法として注目が集まっています。

新型コロナウイルスの影響を大きく受けている業界・業種

さまざまな業界・業種のなかから、新型コロナウイルスの影響を大きく受けていると考えられるものを挙げています。営業時間の短縮や席数の制限など、影響をおよぼした理由についても解説しています。

飲食業界

緊急事態宣言を受けて、不要不急の外出や移動の自粛要請、営業時間短縮の要請が大打撃となった業界が、飲食業界です。大規模商業施設にある飲食店のなかには休業を余儀なくされたり、店内での飲食が難しくなったりした店舗もあります。帝国データバンクの調査によれば、令和2年1月~12月の間に780もの飲食店が倒産に追い込まれました。

一方で、同じ飲食業界でも宅配事業やフードデリバリー事業の業績は伸びていることもあり、多くの店舗でテイクアウトメニューなどが販売されるようになっています。

※参考:2020年  飲食店の倒産動向調査  帝国データバンク(TDB)

旅行・宿泊業界

飲食業界と同じく、新型コロナウイルスの感染防止を目的とした移動の自粛要請によって、大きな影響を被ったのが、旅行や宿泊業界です。海外旅行などは軒並み中止となり、国内旅行も激減したため、ホテルなどの経営破綻が相次ぎました。経営の立て直しに向け、人員の削減が発表されている企業も少なくありません。

観光需要を喚起する目的で行われた「Go To トラベル」も、新型コロナウイルスの拡大を受けて、全国で一斉に一時停止される形となりました。当初、一時停止期間は2020年12月28日から2021年1月11日までとされていましたが、緊急事態宣言延長にともない、2021年3月7日まで延長されることが発表されました。

娯楽・サービス業界

娯楽業もまた、新型コロナウイルスによって大きな損害を被りました。大型テーマパークが相次いで休業したことをはじめ、「密」状態になりやすいコンサートや演劇なども次々に中止や延期を発表しました。緊急事態宣言の解除後も、席数などの制限を行っており、非常に厳しい状況が続いています。

小売業界(百貨店・アパレル)

百貨店やアパレルなど、小売業界でも負の連鎖が止まりません。新型コロナウイルス以前から右肩下がりの状況が続くなか、追い打ちをかけるような感染拡大のあおりを受け、いくつもの大手アパレル関連企業が大量閉店に踏み切りました。また、入店客数の減少が続く百貨店の売上も低迷し、閉店を発表する地方百貨店が相次いでいます。

製造業

製造業においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響は深刻です。厚生労働省の調査によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた製造業における失業者は1万人を超えました。また、BtoB製造業の77%がマイナスの影響を受けたという調査結果もあり、対面での商談中止や潜在顧客のニーズをはかる機会喪失などが尾を引いています。

自動車業界においても、需要の減少や生産工程の遅れなどが原因で大きな損失を出しました。

※参考:新型コロナで失業 製造業で1万人超 飲食業でも1万人近く  NHKニュース

※参考:BtoB製造業の77%がコロナ禍で業績悪化 注力したのは商談のオンライン化やメール/マーケライズ調査:MarkeZine(マーケジン)

新型コロナウイルスの影響が少ない、需要を伸ばしている業界・業種

新型コロナウイルスは、社会や経済に大きな影響をおよぼしましたが、いわゆる巣ごもり需要や新しい生活様式、テレワークにおいての環境を整えたりするなど、需要を伸ばしている業界や業種も存在します。

IT業界

緊急事態宣言を受け、テレワークへと舵を切る企業が増加するなか、IT業界には一定の需要が確保されています。企業だけではなく、学校や病院など、インターネットを介したサービスの需要が急激に増加したり、ネットワークやインフラが増強されたりと、withコロナのサービスの一翼を担う企業にとっては追い風が吹いています。

コンテンツ配信・ゲーム業界

コンテンツ配信やゲーム業界は、コロナ禍における巣ごもり需要として、業績を伸ばしています。外出自粛要請をきっかけにSVOD(定額制動画配信)サービスを利用し始めたという方も多く、SVOD市場は拡大中です。また、コンシューマーゲーム企業の多くで売上が大幅に増加するなど、ゲーム業界の業績も好調に推移しています。

PC・周辺機器メーカー

テレワークに移行する企業の増加を受け、パソコン・周辺機器メーカーの業績は拡大しています。パソコンはもちろん、Web会議に用いるヘッドセットやWebカメラ、セカンドディスプレイとして用いる液晶ディスプレイなどの売れ行きが上向きになり、家庭内で用いるプリンターやポータブルSSDの需要も高まりをみせています。

製薬業界(医薬品・医療機器メーカー)

医薬品・医療機器メーカーや製薬業界の求人は増加傾向にあり、マスクや医薬品を置くドラッグストアの売り上げも堅調に推移しています。なかでも、新薬やワクチンの開発を行う製薬業界の業績は好調で、新型コロナウイルス前後で採用数が大きく変わることはないようです。

食品メーカー・食品を扱う小売業界(スーパー・コンビニエンスストア)

生活に欠かせない食品を扱う業界では、外出自粛による遠出が減り、自宅や職場近くで買い物をしたり、自宅で食事をしたりする機会が増えたこともあり、食品メーカーはもとよりスーパーやコンビニエンスストアといった小売業界でもその需要が増加しています。

物流業界

不要不急の外出を避ける「新しい生活様式」が推奨されるなか、急増したのはオンライン販売です。それにともない、物流量も急増しました。特に需要が高まったのが食品や日用品、医薬品などの運送です。トラックの稼働率も上がり、人材不足の状態が続いています。

金融業界

コロナ禍において求人数の回復が早く、一足早く増加傾向にあるのが、金融業界です。なかでも伸び率がよいのは、ネット型保険の需要増加の恩恵を受けた保険業です。保険業以外にもネット銀行やネット証券などのフィンテック関連の業績が堅調で、即戦力・総合職の採用が強化されてきました。

今後も金融業界におけるオンライン接客は進むとみられていて、新型コロナウイルスによる影響は最小限にとどまるでしょう。

withコロナ時代の転職市場は今後どう変わっていく?

転職市場は、新型コロナウイルスの影響により大きな変化を余儀なくされました。今後、withコロナの時代を生きるにあたって、どうなっていくのかを予想してみましょう。

求人数・採用人数は上がりにくい

新型コロナウイルスの収束には時間がかかるといわれています。そのため、全体の景気が以前のような状態に戻るには時間がかかるでしょう。見通しが厳しい状況下においては人員計画の見直しも行われ、求人数・採用数を控えようという動きがこれまで以上に出てくる可能性もあるでしょう。

未経験の場合、転職が厳しくなる

コロナ禍による大幅な景気の悪化により、人件費を削り、スピード感のある事業展開をするため、即戦力を求める傾向になるでしょう。「買い手市場」の需要と供給のバランスが崩れた転職市場では、コロナ以前と比べて、未経験での転職が非常に厳しくなると予想されます。

オンライン説明会・面接が主流になる

緊急事態宣言の影響で、感染リスクの低いオンライン説明会やWeb面接を実施する企業が増えています。企業側と転職者の双方に負担が少なく、迅速な対応が可能になるだけに、今後もオンライン形式の説明会や面接が実施されると見込まれています。

内定までの期間が短くなる

さまざまな企業でオンライン面接が導入されたことにより、内定までの期間が格段に短縮しています。オンライン面接は、面接地に赴いたり、場所を確保する必要がなく、日程調整がスムーズであることから、企業側と転職者の双方にメリットがあります。その結果、選考がスピーディーに進み、内定までにかかる時間が短くなるでしょう。

コロナ禍で企業が求める人材・スキル

新型コロナウイルスによって、企業側が求める人材やスキルにも変化がみられるようになりました。ここでは、コロナ禍においても転職がしやすい人物像を掘り下げていきます。

実務経験が豊富・即戦力になる

その業界や職種の専門知識が豊富で、実績や事例を具体的に説明できる人は、即戦力の人材であると判断される傾向にあります。また、自分の強みやスキルを具体的に伝え、転職先でどのように活躍できるかイメージし、それを適切に伝えられることも大切です。

コミュニケーションスキルが高い

オンライン上でのやりとりが増えるなか、コミュニケーションスキルの高さがこれまで以上に重視されるようになりました。相手の知りたいこと、いいたいことを推察し、相手の立場にたって物事を考え、相手の目線にあわせて話しを進められる能力が必要です。

また、テレワークなどで、コミュニケーションがメールやチャットを中心とした、文章でのコミュニケーションが増えると、文面だけで情報を読み取る力が求められます。

セルフマネジメント力が高い

テレワークへと移行する企業が増え、対面での仕事を進められない状況におかれるなか、仕事の進捗管理や問題発生時の対応などに個々の判断が求められる局面が多くなりました。それにより、仕事での成果に直結する要素として捉えられるようなった点が、自分自身をマネジメントする能力の高さです。

コロナ禍での転職活動のポイント

「買い手市場」となり、オンライン面接などが主流となったコロナ禍での転職に向けては、どのような準備を進めていく必要があるでしょうか。ここでは、コロナ禍の転職活動のポイントを解説します。

オンライン面接の環境を整える

コロナ禍においては、オンライン面接が主流になっています。転職活動を始める際は、通信環境やPCを準備したうえで、シンプルな背景画像や静かな環境を整えましょう。面接を受ける企業ごとに用いるオンラインツールが異なる可能性があるため、事前に接続方法を確認しておくことも大切です。

現職で実績をつくる

すでに述べたように、コロナ禍での転職で何より重視されるのは即戦力となれる人材であることです。現職でどのような実績をつくってきたか、どのようなスキルを有しているかが、転職活動を大きく左右します。成功体験だけでなく、成果を出すために日々工夫してきたことや努力してきたことなどを言語化できるかどうかも重要なポイントになります。

まとめ

新型コロナウイルスの影響を受け、業績を落とす企業も多いなか、求職者にとっては厳しい状況が続いています。「買い手市場」へと変化した転職市場において、勝ち組となるには、企業側が求める人物像を理解したうえで、自らの強みを具体的にアピールする力が必要です。転職の成功率を上げるには、プロの転職エージェントの力を借りることがおすすめです。

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