転職は当然ながら、目的が明確であればあるほど成功率は高くなります。
転職の目的は、面接時に必ず質問されることでもありますが、自分にも他人にも説得力のある説明ができない方は意外に多いように思います。
ひどい場合には、面接で転職の目的について必ず質問されるので準備しなければと思って初めて答え方を考えたりしているかもしれません。
もしあなたが、この状態ならば、この問題を根本的に、かつ完全に解決する方法について教えます。
転職の目的については、インターネットでもいろいろな情報があります。
それらは、有用な記事ではありますが、難点もあります。
その難点とは、セルフチェックの項目が煩雑になる傾向があり、最も重要な点がぼやけてしまうことです。
転職に限りませんが、やるべきこととやらなくてもいいことを分けることは非常に重要です。
整理されていない事が同時にあると、大事な点を脳が理解することができず、行動につなげることは難しいからです。
チェックポイントは確かにありますが、各チェックポイントの比重は当然、個人差があります。
一見すると遠回りのようですが、転職の目的を考えるには、「急がば回れ」が有効なので、そもそもなぜ転職をしたいのかをもう一度考えてみましょう。
転職の目的は幸せになるため
あなたの転職の目的が、幸せになるためであるのであれば、「幸福の4要素」『Big Four』について知ることが大事です。
もちろん、転職の目的が幸せになるためではないこともあります。
それは、いわゆる天才といわれる人の場合がそうです。
天才は、しばしば、このBig Fourを犠牲にしているからです。
一般的な転職理由は、もっと収入を得たい、もっとやりがいのある仕事をしたい、ワークライフ・バランスを重視したい、出世したいなどになるかと思います。
つまり、現在の不満とか自分の希望とかが現状では実現が難しいので、転職することにより、不満の解消や希望の実現をかなえ、幸せになることこそ転職の目的ではないでしょうか。
ですが、現在の状態を規準にした場合、どうしても近視的な動きにならざるを得ない面があると思います。
つまり、ある問題が転職によって解決したとしても、また別の問題が転職によって発生するという負の無限ループに陥る危険があるのです。
そこで、人間は、何によって幸せを感じるかを知ることが重要になってきます。
もちろん、何によって幸せを感じるかは人によって違うと思うかもしれません。
その通りです。
しかし、幸福の必須要素は確実に存在し、割合は人により、また時期により変化するにしても、「幸福の4要素」のどれが欠けても幸せにはなれないという調査があります。
その調査をしたのは、ローラ・ナッシュとハワード・スティーブンソンです。
幸福の4要素
ナッシュとスティーブンソンによる、幸福の測定基準である「幸福の4要素」をご紹介します。
1 幸福感:自分が楽しんでいるかどうか
2 達成感:目標を達成し人より優れたものがあるかどうか
3 存在意義:同僚や身近な人の役にたち、ポジティブな気持ちにさせているか
4 育成:自分に続く人に伝えることで誰かの成功を助けているか
仕事が嫌になって転職を考える要因として大きなポイントのひとつに人間関係に問題がある場合があると思います。
転職の契機となったものが実は人間関係であるのに、そう思いたくないので、自分にも隠している場合もあります。
逆に転職が成功したと思える場合も職場の人間関係が良いときです。
自分が楽しんでいるかどうかは、同僚や上司との関係と無縁ではありません。
仕事の達成についても、会社で仕事をする以上、周囲の協力・理解やチームプレイが不可欠です。
存在意義や育成については、人間関係が悪くては成り立ちません。
もう一度、上記の幸福の4要素を見て、なぜ転職しようと思ったかを考えてみてください。
転職を考えている、現在のあなたの仕事は4要素のすべてを満たしていないはずです。
逆に、幸福の4要素を満たしていれば、転職を考えなかったのではないでしょうか。
幸福の4要素をすべて満たしていれば、あなたの体のすべての細胞が喜々として活発に躍動し、それが健康にも人間関係にも良い影響を及ぼしているからです。
4の育成については、ちょっと説明しておきます。
原文では、レガシー(Legacy)と書かれており、一般的には、「過去の遺産」を意味します。
レガシーはキャリアや年齢があがるほど比重が増してくるかと思います。
ほとんどの会社と仕事は、レガシーを重視していると思って間違いありません。
つまり、個人プレイヤーとして優秀であることも大事ですが、それと同等もしくはそれ以上に重要なのが、「伝える」ということなのです。
自分のもっている知識や技術を伝えることは、会社にとっては重要な資産となり、あなたの幸福度も高めるのです。
従って、キャリアがあり、ある程度の年齢の方が転職を考えるのであれば、面接時に好印象を与えることだけみても、レガシーは大事なポイントだと認識するべきです。
特に同じラインに複数の候補者が並んだ時に、最終的に採否を決めるのは、人間としての魅力(この人と一緒に仕事をしたいか)や責任感であることは知っておきましょう。
あなたの魅力や責任感を伝えるために、レガシーの観点を意識しながら話をすると非常に良い効果があると思います。
「幸福の4要素」について、詳しく知りたい方のために、以下をご案内しておきます。
JUST ENOUGH Paperback - 2006
by Laura Nash & Howard Stevenson (Author)
この本はアマゾンなどで購入できます。
上記の4要素を具体的なものに落とし込むことにより、希望の職種や会社にカテゴライズされた転職の目的と理由がおのずと明確になります。
また、応募する会社のチェックも、この視点から行えばよいのです。
現在の仕事にあてはめれば説得力のある退職理由となり、また説得力のある志望動機にもなり、友人にアドバイスすることもできるようになると思います。
ぜひ、この手法を活用し、転職活動に生かしてください。
参考:
JUST ENOUGH Paperback - 2006
by Laura Nash & Howard Stevenson (Author)