監査法人のマネージャーになったものの、今後のキャリアとして転職すべきか、パートナーを目指すべきか悩んでいる人も少なくないと思います。この記事では、監査法人でパートナーになるためにできる事や、マネージャーからの転職について紹介します。
監査法人のマネージャーの仕事、監査法人でマネージャーをするメリット・デメリットについても解説しているので、今後のキャリアアップを考える際の参考にしてください。
【目 次】
●まとめ
監査法人の職位と年収について
監査法人では、係長・課長とはいわず、ジュニアスタッフ・シニアスタッフ・マネージャーといった呼称を用います。それぞれの職位の年収について解説します。
ジュニアスタッフ
監査法人への入社後、最初の3年ほどはジュニアスタッフとして働くことになります。役職はつかず、年収は450~600万円ほどです。シニアスタッフの指示で、実務に従事します。
シニアスタッフ
ジュニアスタッフを3~4年ほど務め、実務経験を積むと、シニアスタッフになります。この段階で、正式に公認会計士となる人が多いです。年収は600~850万円ほどで、監査チームの責任者としてジュニアスタッフの実務をとりまとめます。
マネージャー
シニアスタッフとして5年以上務めた人の中から選ばれ、マネージャーとなります。年収は850~1,200万円ほどで、管理職という位置づけになるため、マネージャーに就任すると残業代がつかなくなります。
マネージャーになったタイミングで転職を検討する人が多くなるのはそのためです。円滑な業務遂行のための管理業務、労務管理・人材育成などに携わります。
シニアマネージャー
マネージャーとして5年以上務めた人の中から選ばれ、シニアマネージャーとなります。シニアマネージャーの職位のない監査法人もあります。年収は900~1,300万円ほどで、管理職でとなりますが、マネージャーよりさらに狭き門です。
専門的な知識を活かし、様々な問題解決などにかかわる業務、労務・人事の管理責務を担います。
パートナー
シニアマネージャー、もしくはマネージャーとして5年以上務めた人の中から選ばれ、パートナーとなります。管理職であり、年収は1,500~数千万円ほどになり、監査法人の共同経営者でもあります。業務全般を統括することとなり、シニアパートナー・理事・理事長に昇格する道が開けます。
監査法人・マネージャーの仕事
監査法人のマネージャーには、業務能力の高さはもちろん、人に仕事をさせるマネジメント能力、チームの管理能力が必要となります。ここでは、監査法人におけるマネージャーの仕事内容について詳しく解説します。
スタッフの育成と指導
スタッフの育成と指導はマネージャーの主な仕事の1つです。業務の進捗状況をチェックしながら部下の仕事ぶりを管理し、適宜フィードバックを与えながら、育成・指導にあたります。
業務の進捗状況の確認と管理
監査計画の立案や資料作成、調査といった会計業務を行います。その上で、監査チームのリーダーとして部下の仕事の進捗状況を確認し、管理するという役割も担います。
戦略・方針などをチームに明示する
マネージャーが現場の第一線に立つこともありますが、実務担当者としての役割は3割ほどで、残り7割はマネジメントを行います。チーム全体の目標・戦略に基づいた意思決定を行います。
監査法人でマネージャーをするメリット・デメリット
監査法人においてマネージャーをするメリット・デメリットについて解説します。
メリット
監査法人でマネージャー職をするメリットとして最も大きいのは、あらゆる業務に携われるということです。現場の第一線に立ち実務をこなしつつ、管理職としてマネジメント能力も磨けます。マネージャーとしての実務経験を積めば、オールラウンドプレーヤーになることが可能です。次の段階としてパートナーも目指せます。
デメリット
マネージャーは、さまざまな実務を担った上で、部下の育成・指導、パートナーとの円滑なコミュニケーションを取るなど、かなりの激務をこなす必要があります。激務であるにもかかわらず、管理職であるために、残業代がつきません。このため、マネージャーの段階で転職を考える人も少なくありません。
監査法人でパートナーを目指すには
監査法人のパートナーは、共同経営者という役割を担うため、責任も大きくなります。ここでは、監査法人でパートナーを目指すにはどうすればよいかを解説します。
組織のトップ相応のスキルを身につける
監査法人でパートナーとなるためには、組織のトップとしてのスキルを身につけている必要があります。監査業務やマネジメント管理スキルは当然のことで、クライアントとの関係を構築できる社交性・監査法人全体を維持する責任感とタフな精神力なども求められます。
冷静かつ的確な判断力・豊富な知識・経験に基づく提案力も求められますので、マネージャーの業務を日々こなしながら、パートナーとしてのスキルも培っていく必要があります。
中堅監査法人に転職する
監査法人では、スタッフ・シニアスタッフ・マネージャー・シニアマネージャーの順に昇進し、その先にパートナーがあります。パートナーになるのはピラミッドの頂点に立つことで、大手監査法人の場合は、かなり狭き門となります。
大手監査法人でマネージャーになっても、パートナーになれる可能性が低いと感じた場合は、中堅監査法人へ転職することも考えてみましょう。大手監査法人でマネージャーに就いていれば、中堅監査法人でパートナーに就ける可能性が高くなります。
監査法人でマネージャーを経験してから転職するには
監査法人のマネージャーに就いている人の中には、事業会社・コンサルティングファームなどへの転職を検討することが少なくないです。ここでは、監査法人のマネージャーの転職について解説します。
事業会社への転職
仕事内容
財務・会計のプロとして、事業会社の経理部門での仕事を行います。決算や開示業務を中心に、監査法人対応や国際会計基準対応などが求められます。海外連結がある場合は、さらに高度な専門的知識が期待されるでしょう。
転職のタイミング
マネージャーになりたての人が、事業会社へ転職することが多いです。シニアマネージャーの経験があるので、実務能力があると認めてもらえやすいです。
転職するメリット
事業会社の経理部門は、ワークライフバランスが重視される傾向が強く、福利厚生や制度設計なども充実しています。監査法人ほどの激務でないことが多いのもメリットのひとつです。
コンサルティングファームへの転職
仕事内容
コンサルティングファームでは、企業の抱える問題を解決するための仕事を行います。クライアントへの指導力が問われ、コミュニケーション能力も必要となります。会計士としての実績や知識がクライアントの企業力に直結するため、個々の企業への対応力も必要です。
転職のタイミング
マネージャーを数年経験した後での転職がベストのタイミングといえます。監査法人のマネージャーに就いている人は、専門性の高い知識が豊富なので、30代後半くらいまでは採用してくれるコンサルティンファームが多いです。
転職するメリット
コンサルティングファームへ転職することで、論理的思考力・問題解決能力などのビジネススキルを高められます。さらなるキャリアアップを目指す上でも有利になります。
監査法人・マネージャーから会計事務所への転職
仕事内容
会計事務所では、個人事業主や中小企業などがクライアントとなります。経理・決算業務を代行します。
転職のタイミング
会計事務所における会計士の需要は高く、求人が見つけやすいため、どのタイミングでも転職が可能です。監査法人のマネージャーとしての激務がつらいと思い始めた時期や、プライベートを充実させたいと思い始めた時が転職のタイミングだといえます。
転職するメリット
会計事務所に転職することで、税務の経験を積むことができたり、中小企業向けのコンサルティングやM&Aに関わるデューデリジェンスなどにもチャレンジできたりします。将来、独立開業も目指せます。
まとめ
監査法人のマネージャーの仕事は激務であるため、転職を考える人も少なくないです。マネージャーの仕事は、円滑な業務遂行のための管理業務、労務管理・人材育成など豊富です。マネージャーになった段階で、さらにパートナーを目指すべきか、事業会社・コンサルファーム・会計事務所などへの転職をすべきかを考える人が多いです。
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