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財務、経理、会計は似たような職種に思えますが、それぞれ異なります。財務は会社がこれから使うお金の管理をします。一方、経理と会計は現在のお金の流れを管理します。経理は「経営管理」の略称であり、会計の一部の業務を担当しています。

これらを踏まえて、それぞれの具体的な仕事内容をみていきましょう。

財務の仕事は、主に会社に必要な資金の調達となります。経理や会計が作成した決算書などのデータから資金計画を立てて、銀行との融資交渉や社債の発行などで資金繰りを行います。会社の全般的な予算管理も財務の仕事です。

財務部門があると資金の確保が円滑に進み、将来的な会社経営がしやすくなります。大企業では最高財務責任者をおく場合もありますが、中小企業では経営者や経理が兼務していることもあります。

財務の仕事に役立つ資格

財務の仕事に役立つ資格を4つ紹介します。

ファイナンシャルプランナー（AFP/CFP（R））

ファイナンシャルプランナーの資格は、金融関連の知識や分析能力を身につけることができる民間資格です。資格取得のためには不動産や税金、保険など多方面から資産を調査・分析する、幅広い知識が必要となります。

ファイナンシャル・プランニング（FP）技能士

ファイナンシャル・プランニング技能士は国家資格です。ファイナンシャル・プランナーと同様に、不動産、税金、保険といった金融関係の幅広い知識が身につきます。AFPと2級FP技能士、CFPと1級FP技能士が同等の試験レベルです。

公認会計士

公認会計士には独占業務として、財務関連の書類内容が適切かどうかを監査する仕事があります。会計に関わる資格の中では最難関ともいえますが、財務だけでなく、税務やコンサルティングなどの知識も身につけられる資格です。

税理士

税務や会計の専門家として活躍できる資格です。難関資格ですが、キャリアアップにも有効になります。税理士の資格取得者がもつ財務分析力は、多くの企業で重宝されます。

平均の年収額

財務の全体的な平均年収は521万円となっています。また、年代別に平均年収は以下のとおりです。

・20代前半：386万円
・20代後半：477万円
・30代：535万円
・40代：676万円

全体でみても、年代別でみても平均年収の水準は高いことがわかります。財務担当には、より高度な知識やスキルが求められるため年収にも反映されているともいえます。

※参考：財務の年収まとめ(給与/平均年収/企業名などを集計) 転職会議

経理の仕事は会計業務の一部として、日々のお金の流れを管理します。帳簿の記帳、伝票の起票、入出金の管理などが主な業務です。請求書の作成や支払業務、損益計算書やキャッシュフロー計算書の作成も行います。決算期には会社の経済状況をまとめた財務諸表の作成を担当します。

経理の仕事に役立つ資格

経理の仕事に役立つ資格は次の4つです。

日商簿記検定

経理には簿記の知識が必要となります。簿記は毎日行われる取引を、記録する知識です。日商簿記検定は4級から1級まで段階的に挑戦できます。1級に合格すると、経営面にも対応できる資産管理や分析ができるようになるでしょう。

MOS（マイクロソフトオフィススペシャリスト）

MOSはWordやExcelといったオフィスソフトのスキル検定です。経理は書類作成や各種計算などで、日常的にオフィスソフトを使います。業務効率化につながるスキルなので、新入社員に取得をすすめる企業もあります。

経理・財務スキル検定（FASS）

経済産業省が発案した検定試験で、経理や財務、税務まで幅広い知識が学べます。日商簿記検定と比較すると、売掛や買掛、在庫管理、固定資産管理など、より実務的な能力を要求される資格となります。

経理事務パスポート検定（PASS）

PASSも経済産業省発案の検定試験です。1〜3級まであり、3級が入門レベルの内容です。eラーニングでの学習が可能で、経理に興味をもっている人や初心者でも受験しやすくなっています。

平均の年収額

経理の平均年収は全体で463万円となります。年代別の平均年収は以下のとおりです。

・20代前半：350万円
・20代後半：420万円
・30代：495万円
・40代：540万円

経理は経営に近い業務を担当するため、経営者や幹部と接する場合も多いです。管理職に近づくほど事務処理だけでなく、マネジメントや経営に関する分析力が求められます。

※参考：経理の年収まとめ(給料/平均年収/企業名などを集計) 転職会議

会計の仕事は、日々の売上記録や仕入記録といった資金の管理を行います。経理は会計業務の一部となります。

貸借対照表や損益計算書を作るときに必要な会計帳簿の作成も会計の仕事です。会社の経営状況を説明できる状態にしておくことも、重要な業務になります。会計の業務は大きくわけて「財務会計」と「管理会計」の2つがあります。

財務会計

財務会計は社外に事業活動を報告することを目的としています。消費者や仕入れ先、株主など、企業と利害関係のある関係者をステークホルダーと呼びますが、このステークホルダーたちとの利害の調節に必要なのが財務会計です。財務会計は企業の活動内容を財務諸表にまとめ、有価証券報告やIR情報などで報告します。また、利益分配の割合などを調整することも重要な役目のひとつです。

管理会計

管理会計は、自社の経営者や役員に会計情報を報告することを目的としています。原価計算やキャッシュフロー分析、経営分析、予算管理などを取り扱います。さらに、会計情報にもとづいた事業計画書や中期経営計画書、取締役会の資料といった書類を作成します。会社の経営層のための資料を用意することから、内部報告会計とも呼ばれています。

財務や会計・経理の仕事内容は異なるので、向いている人も違います。財務は会社経営にも関わる資金調達が業務のため、情報分析力や判断力、管理能力が求められます。経済動向を見極めたり、資金をどう使うか判断したりするので、冷静さや慎重さのある人が向いています。

会計や経理の仕事に向いているのは、注意力のある人や几帳面な人です。日々のお金の動きを管理するため、見落としがないように業務を進める能力が必要となります。1人で机に向かうわけではなく、部署内での連携がポイントになる仕事です。じっくりコツコツと数字と向き合いつつも、協調性のある性格は会計・経理向きといえるでしょう。

財務は年度決算をしっかりと締められたときや、自分が作った予算作成が事業部や経営層の役に立ったときなどにやりがいを感じます。自社の資産状況を整理するなかで経営上の改善点を見つけた、市場の動向を見極めて業績向上に結びつけたなど、仕事の結果が会社全体に影響する様を目にすることができます。

経理は1日ごとや1か月ごとの締め切りにあわせて業務を進めます。、特に月末や年度末の決算間際は多忙を極めます。1円もずれてはならないというプレッシャーを感じるときもありますが、苦労を乗り越えてぴったりと数字があったときなどは、経理ならではのやりがいを感じます。

財務や経理、会計は、それぞれで仕事内容や役割が異なり、やりがいも違います。数字を合わせる緊張感や、締め切りに追われるプレッシャーを感じることもありますが、きちんと決算を終わらせたときや、精度の高い予算作成ができたときなどの達成感は格別です。

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