ロジカルシンキングを身につけるには?
ロジカルシンキングの基礎知識や鍛える方法など解説

ロジカルシンキングとは

ビジネスパーソンにとってロジカルシンキングは必要なスキルです。この記事では、ロジカルシンキングとは何か、基礎知識や、活用するためのフレームワークなどわかりやすく解説します。業務効率の改善や問題解決能力の向上に役立ててください。

ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキングとは「ロジカル」と「シンキング」を組み合わせた言葉です。ロジカルとは論理的という意味で、ある事柄について順序立てたり、体系的に整理したりすることを表します。シンキングには「思考」「考える」といった意味があることから、ロジカルシンキングとは「論理的な思考」という意味になります。

ロジカルシンキングが国内で広まった背景

ロジカルシンキングが国内で広まった背景には、2001年にブームになった書籍『ロジカル・シンキング』(照屋華子/岡田恵子著、東洋経済新報社)の影響があるでしょう。この書籍では、ロジカルシンキングのツールや手法などが提唱されています。

ロジカルシンキングに必要な6つの要素

ロジカルシンキングに必要な要素が6つあります。ここではその要素について解説します。

結論と根拠には関連性をもたせる

どんなに深く考えていても、結論と根拠がつながっていなければロジカルシンキングとはいえません。自分の意見に一貫性をもたせるには、後述するロジカルシンキングの手法として「演繹(えんえき)法」「帰納法」を使用するとよいでしょう。

思考の偏り(バイアス)を払拭する

偏見や思い込みなど、思考の偏りのことを「バイアス」といいます。バイアスがかかると視野がせばまり、判断を誤る場合もあります。ロジカルシンキングではバイアスにとらわれず、全体をバランスよく把握しましょう。

無駄のない合理的な思考をもつ

合理的な思考とは、無駄がなく効率性を考慮した考え方のことです。ビジネスシーンでは、費用対効果に関する課題など問題解決の場面で重要な考え方です。同じ結論に至るとしても、無駄が多ければかえってコストやリソースがかかってしまいます。問題解決のために何が重要なのかを見極めることが大切です。

情報は切り分けて整理する

問題は「背景」「状況」「人物」などさまざまな情報で構成されています。解決する際には、これらを適切に切り分け、整理することを心がけましょう。情報を切り分けるときのコツとして、MECE(ミーシー)という考えがあります。日本語で「漏れなく、ダブりなく」という意味で、思いついたまま感覚で考えると見落としがある可能性があります。MECEを意識したアプローチを行って考えることで、各要素だけではなく全体を適切に理解することができます。

物事の因果関係を見極める

問題に関わる物事には因果関係があります。「原因は何か?」ということをしっかりと見極め、把握することで問題の本質的な原因にアクションを起こせます。

言葉や数字の意味をとらえる

言葉の定義が曖昧だったり、数字が適当だったりすると、正しい結論が得られません。表、グラフの使い方が間違っていることも、ロジカルシンキングの障害になります。問題に関わる言葉の意味は正しく把握し、表やグラフは問題に適したものを用いましょう。また、常に定量的な思考をもつことも大切です。

ロジカルシンキングの代表的なフレームワーク

ロジカルシンキングを行ううえで助けになるのがフレームワークです。ここでは代表的なフレームワークをご紹介します。

ピラミッド構造

ピラミッド構造とは、主張とそれを支える複数の根拠からなる論理構造です。結論や根拠をピラミッド上に表しているため、このように呼ばれます。ピラミッド構造は、複数の論拠のもとにひとつの結論を導き出すため「帰納法」を用いる際に有効です。

ロジックツリー

ロジックツリーとは、テーマや課題をツリー型に分解して問題解決方法を導き出す手法です。「要素分解ツリー」「原因究明ツリー」「問題解決ツリー」の3種類で構成されています。

要素分解ツリー

要素分解ツリーとは、問題全体を部分や要素ごとに分解して整理していくロジックツリーです。問題全体は把握できているのに、個別の問題や課題が整理しきれていない場合に有効活用できます。

原因究明ツリー

原因究明ツリーとは、問題を生み出している原因を究明するのに便利なロジックツリーです。問題や原因を全体と部分に分解して整理するだけでなく、問題や原因の「質と量」も重視したロジックツリーといえるでしょう。

問題解決ツリー

問題解決ツリーはイシューツリーとも呼ばれ、目的に対して検討すべき論点を見つけられるロジックツリーです。原因究明ツリーが「原因」の量と質を重視するのに対し、問題解決ツリーは「目的」の量と質を整理、分解できるのが特徴です。

ロジカルシンキングにおけるフレームワークの活用について

ロジカルシンキングに活用できる手法に「フレームワーク」があります。フレームワークは、誰にでもわかりやすく効率的に思考できるよう、考え方をパターン化したものです。ロジカルシンキングにもフレームワークを用いることで、思考の合理性が高まります。より素早く判断できるようになれば、仕事の再現性や生産性を高められるでしょう。

ロジカルシンキングの3種類の代表的な手法

ロジカルシンキングには「帰納法」「演繹法」「弁証法」といった3種類の代表的な手法があります。ここではそれぞれについて詳しく解説します。

帰納法

帰納法とは複数の事例から共通点をまとめ、根拠を見出し、結論を導く手法です。なお、事例をより多く集めることで、結論の精度も高められます。

たとえば、自社が和食レストランを展開している企業であったとします。そこで「アメリカの飲食業界で和食の市場が拡大している(事例1)」「アメリカのTwitterに和食がトレンド入りした(事例2)」「アメリカのTV番組で和食特集が組まれた(事例3)」という事例があるとします。

ここから「アメリカで和食が注目されている」という共通点が見出せます。この共通点から「自社はアメリカへの事業展開を検討すべき」という結論を導き出すのが帰納法です。

演繹法

演繹法は、一般論や普遍的な事実と観察事項を結びつけて結論を導き出す手法です。たとえば「医者は病院で働く(一般論)」と「彼は医者である(観察事項)」を結びつけて「彼は病院で働く」といった結論を導き出します。

しかし、前提となる一般論や事実に相違があると、結論も間違ったものになります。演繹法を用いる場合は、正しい情報をもとに思考しているか、飛躍した結論になっていないか注意しましょう。

弁証法

弁証法は、否定案を提示し、解決のための統合案を導き出す手法です。たとえば「車で自由に出かけたい」に対し「使用頻度が低いため、費用対効果が悪い」という否定案を出します。ここから「カーシェアリングを活用する」という統合案を導き出し、問題を解決するという手法です。問題解決を行う際に役に立つ手法といえるでしょう。

ロジカルシンキングを鍛えるメリット

ロジカルシンキングを鍛えると、ビジネスシーンで役に立つことが多くあります。ここではロジカルシンキングを鍛えるメリットを解説します。

分析力が向上する

ロジカルシンキングは物事のバイアスにとらわれず、物事を分析できる思考法です。ロジカルシンキングを鍛えると、さまざまな問題や事象を客観的に見ることができるようになります。分析力の向上に役に立つでしょう。

問題解決能力が向上する

重視するべきことの明確化や、因果関係の正確な把握が可能になるのがロジカルシンキングです。正しく因果関係を把握し、合理的な思考をすることができれば、さまざまな問題に対し適切に対処する問題解決能力が向上します。

提案力が向上する

バイアスにとらわれず、筋道を立てた考え方ができるのがロジカルシンキングの特徴です。そのため、自分の主張に関して筋道を立てた説明が可能になります。ロジカルシンキングを鍛えることで提案力を向上させることができます。

コミュニケーション能力が向上する

ロジカルシンキングを鍛えると、自分の意見を正確に説明できるようになります。また相手の意見も的確に理解できるようになります。そのため、意思疎通がしやすくなり、コミュニケーション能力が向上するのです。

生産性が向上する

ロジカルシンキングによって問題の本質を見極められるようになります。フレームワークを活用することで、無駄な思考やプロセスを省略することができるようになるため、仕事の再現性が高まり、結果として生産性が向上します。

ロジカルシンキングのデメリット

ロジカルシンキングは、論理の前提や根拠が正しいかどうかの判断はできません。前提が間違っている問題に対してロジカルシンキングを活用しても、正しい結論には辿り着けないでしょう。

また、ロジカルシンキングに用いる事例や事実、論理展開に対する切り口は無数にあります。要素が無数にある状況では、思考する本人の主観に寄りがちになります。ひらめきや創造性を必要とするビジネスには不向きな部分があります。

過去の事例や因果関係が現在では成立しない場合、ロジカルシンキングは通用しません。過去と現在の環境や状況が違えば、導き出される結論も異なるためです。

ロジカルシンキングを鍛える方法

ロジカルシンキングを鍛えるためには、どのようなことに気をつければよいでしょうか。ここでは6つの手法をご紹介します。

日常的にロジカルシンキングを実践する

日常的にロジカルシンキングを実施するようにしましょう。少しでも疑問を感じたらロジックツリーなどのフレームワークを使うことで、ロジカルシンキングのスピードを上げられるでしょう。

セルフディベートを行う

セルフディベートとはひとりで行うディベートです。相反する意見について両方の立場に立つことになるため、ロジカルシンキングを鍛えられるでしょう。テーマに問わずセルフディベートを行うことで、ロジカルシンキングを鍛えるとともに知見を広げられます。

仮説を立てたうえで考える

アイディアや問題解決に対して仮説を立てます。根拠を考え、それにもとづく事例を集めていくことで、ロジカルシンキングが鍛えられます。仮説が証明できれば、根拠のあるアイディアとして活用できるでしょう。

目的の達成を意識する

ロジカルシンキングを意識すると、ついつい論理的思考やフレームワークにばかり注力してしまいます。本来ロジカルシンキングは、目的達成のための手段であるため「手法」にこだわらず、目的の達成を意識するように心がけましょう。

シンプルに考え、構成する

思考を右往左往させるとロジックは複雑になっていきます。複雑すぎるロジックは相手に伝わりにくいため、因果関係や三段論法など、シンプルな筋道を立てられるように考えながらアイディアを構成しましょう。

結論から話すようにする

結論から話した後に根拠や説明をするようにしましょう。相手が納得できるように相手の目線で考えることが大切です。結論から話すことを意識するようにすると、ピラミッド構造のトップダウンアプローチをする際に有効でしょう。

ロジカルシンキングの注意点

ロジカルシンキングはあくまで目的を達成するための手段のひとつに過ぎません。ロジカルであることを目的にしてしまうと、最終目的が何であったかを忘れ、永久に目的を達成できなくなってしまいます。あくまで最終目的を理解したうえで、達成手段のひとつとして活用するようにしましょう。

まとめ

ロジカルシンキングは物事を論理的に思考することで目的達成に辿り着く手法です。ビジネスパーソンに必要なスキルで、業務効率化や問題解決能力の向上に役に立ちます。

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