面接の場でよく聞かれる質問内容として「あなたの長所と短所はどんなところですか?」というものがあります。この質問では、自分で考えて行動ができるか、客観的に物事を見られるか、課題を解決する努力ができるかなど、さまざまな点を確認されています。ですから、どのように回答するかが重要になります。
この記事では、面接官がなぜ長所や短所を尋ねるのかを解説するとともに、どのように答えるべきか、また避けたほうがいい答え方をご紹介します。就職活動や転職活動を進める際の参考にしてください。
【目 次】
●まとめ
面接で「長所」「短所」(や「性格」)を聞かれるのはなぜ?
面接で、長所や短所、性格などについて質問される頻度が高いという事実は、それだけ面接官が長所や短所、性格などを重視しているという証です。ここではその理由を解説します。
面接官が長所や短所(や性格)を聞くことの3つの意味
面接官が、求職者の長所や短所、性格などを聞くことには、3つの意図があります。ひとつは自己分析ができているかどうかを見るというもの、ひとつは求職者のパーソナリティが職種や社風と合っているかどうかを判断するというもの、そして、もうひとつが求職者のポテンシャルを見るというものです。
自己分析が客観的にできているか
誰しも得意なこと、不得意なことがあります。また、これまでの経歴により、保有するスキルや経験は千差万別でしょう。自分に何ができて、何ができないか、自分の強みがどういったものであるかを正しく判断できていると、企業のなかでチームを作って仕事を進める際に強力な武器になります。
面接官は、求職者がきちんと自分の特性やスキルの棚卸しができているかどうかを判断するために、自分の長所や短所、性格について質問をすることがあります。
募集職種や社風と合致しているか
いかにすぐれた能力をもち、立派な経歴や経験をもっていたとしても、周囲のメンバーとうまく協調できなかったり、会社の風土と性格が合わない人材は能力を充分に発揮することができなかったりします。
人材と会社とのミスマッチを防ぐため、面接官は求職者の性格やニーズを探り出すことで、自社で活躍できる人材であるかどうか、長く勤務してもらえる人材であるかどうかを見ようとします。
課題に対しての解決能力があるか
人間誰しも短所はあります。短所があること自体はマイナスポイントではありません。重要なことは、どのように短所と向き合っているかです。
短所をきちんと把握し、苦手なことを克服してきたのか、あるいは周囲の人の助けを借りてきたのかなどを知ることによって、ビジネスにおける課題解決能力を判断します。
自分の「長所」「短所」を見つけるにはどうしたらよいか?
以上のことから、面接に臨む際には、自分の長所や短所をきちんと把握し、整理して話せるように準備しておく必要があります。ここでは、自分の長所や短所を知るために、どのような方法があるかを解説します。
長所、短所を見つける2つの方法
漫然と自分の長所や短所を考えていても、自分のこととはいえ、なかなか思いつかない、あるいはうまくまとめられないということもあるでしょう。自分の長所や短所をうまく見つける方法がふたつあります。
自身の過去の成功体験、失敗体験を書き出す
自己分析をする際には、過去の成功体験や失敗体験から、長所や短所を導き出すとスムーズに思い浮かべることができるでしょう。面接の場では、具体的なエピソードを交えて話すことで、話しに説得力をもたせることができるため、面接の準備になるというメリットもあります。
他人に自分の長所、短所を聞いてみる
自分の長所や短所を客観的に見るのは難しいことです。思い切って家族や友人などに自分の長所や短所を聞いてみると、自分では思いつきもしなかったことを挙げてもらえることがあります。また、人から聞いた具体的なエピソードが加わることによって、自分だけで行った分析結果よりも説得力が増すでしょう。
面接での「長所」「短所」の答え方の注意
面接で長所や短所を答える際には、回答を自己アピールにつなげ、面接官によい印象をもってもらうことも考えなければなりません。まずは、事前準備として自分の長所や短所をまとめましょう。そして次に、面接という限られた時間のなかで長所や短所をどのように答えるべきかを考えましょう。
アピールする長所を絞る
長所をできるだけアピールしたいと、あまりに多く挙げすぎると、それぞれの印象が薄くなります。応募している職種や社風に添った長所をひとつかふたつに絞り込んで答えましょう。そうすることで、しっかり自己分析ができている印象を与えることができます。
面接時に注意したい5つの回答NGの長所、短所
長所や短所を答える際には、面接官に好印象をもってもらえるように、気をつけておきたいポイントが5つあります。以下でそれぞれの要点を解説します。
採用にリスクがあるとみなされる短所
時間にルーズである、ルールを守る意識が希薄である、嘘をつく癖があるなどと受け取られてしまう短所を伝えると、企業の信用を失墜させる人材ではないか、損害をもたらす人材ではないか、と判断される可能性があります。
ビジネスマンとして、致命的とみなされる可能性がある短所については避けるべきです。リスクと捉えられるような話し方やエピソードも避けましょう。
募集職種や社風に合致していない長所や短所
例えば、ディレクターなどチームで仕事をする職種に応募した場合、短所は頑固であることを伝えると、応募する職種とのミスマッチを疑われてしまうことがあります。
長所や短所は、職種や社風との適性を考慮して語るようにしましょう。
仕事に活かせない長所や短所
自分の一番のもち味であると感じる長所でも、それが仕事に活かせないものであった場合には、伏せておいたほうが得策である場合もあります。本人の適正と職務がミスマッチであると判断されることがあるだけでなく、質問に適切に答えられる理解力やコミュニケーション能力が劣っていると見なされてしまうこともあるからです。
古すぎる経験に基づく長所や短所
自分の長所や短所を具体的に説明するエピソードに、幼少期の経験や学生時代のことを例として挙げることにもリスクがあります。あまり現在とかけ離れた時期の体験を語ると、その時代から特筆できるような経験を積んでいないと見なされたり、成長がないと見なされてしまったりする恐れがあるからです。
質問内容に対して、ズレた答えになっていないかにも注意
面接の場では、何よりも質問された内容に即した回答をすることが大切です。長所や短所を答えることには、きちんと自己分析ができていることを示す目的があります。長所を答える際には、単なる自慢話しと受け取られてしまうような回答は避けるべきです。あわせて短所を尋ねられた際に、短所がないと答えることも避けましょう。
短所を答える際には、言い換えれば強みにもなるように話すことは有効ですが、無理に長所につなげて話すと、かえってマイナスイメージをもたれてしまいます。長所や短所を尋ねられた際には、理路整然と、矛盾なく説得力をもって語れることを重要視しましょう。
実際の面接時に「長所」「短所」をどう伝えるか
実際の面接時に、どのように長所や短所を伝えるべきか多くの方にとって悩ましい問題でしょう。ここでは、実際の面接の場を想定して、問答の例文を用いて解説します。
長所と短所は表裏一体(例文あり)
例えば「決断に時間がかかります」というと短所になりますが、同じ特性も「慎重に熟考してから判断を下せます」と長所として話すこともできます。短所を明確にすることで、自分の長所を見つけられ、長所や短所を矛盾なく伝えられるようにもなります。
同様に「私の短所はせっかちなところです」というのを「即断即決でスピーディな意思決定が得意です」と言い換えることができます。「頑固」という特性は「強い信念をもって取り組んだことを最後までやり通せる」と表現できます。
長所を伝える際は、意識して具体的に回答する
長所を伝える際には、漠然とした伝え方を避けることがポイントです。多くの企業が重視する長所のひとつに「コミュニケーション能力」や「真面目さ」といったものがありますが、「わたしの長所はコミュニケーション能力が高いことです」とそのまま言ったところで、相手の心に響くアピールにはなりません。
「クライアントの立場で物事を考え、不安点を予測し、解消できるような資料を揃えておくことで、信頼を得て、契約に繋がった実績があります」といえば、面接官にコミュニケーション能力をアピールでき、営業の現場で活躍を期待してもらうことができます。「仕事の進捗管理を徹底して、決められた納期は必ず守ってきました」とアピールすれば、真面目さをアピールできるでしょう。
長所はこれまでの仕事の実績でも可
長所を答えるというと、多くの方が自分の性格を答えるものと考えがちですが、長所として過去の仕事の実績を答えても構いません。営業職であれば、過去の営業成績を具体的な数値として提示することで、自分の営業能力を長所としてアピールすることもできます。
短所を伝える際は、マイナス表現を避ける
短所を伝える際には、過度にマイナスイメージをもたれてしまう表現を避けるようにしましょう。「~ができない」と断定調に言い切ってしまうと、意味合いがあまりに強くなりすぎてしまいますが「~しがち」「~してしまうことがある」と表現すると、客観的に短所を把握できており、改善・克服に向けて努力しているという印象を与えることができます。
短所は、言い換えると強みになることを意識して回答する
短所を語る際には、きちんと自己分析ができていることを示すとともに、長所に転換して役立てられることを示すことも重要です。
例えば「マイペースである」という短所は、ともすれば周囲と歩調を合わせられないという印象をもたれがちですが「周囲が慌てていても、冷静に落ち着けます」と答えられます。また、「心配性」という短所は「あらゆる可能性を考慮して、事前に対策を検討できるので、想定外のトラブルを減らせます」とアピールができます。
短所に対して、どのように対処しているかも伝える
短所を認識した後は、その短所をどのように克服するかが重要です。うっかりミスが多い方が、メモやチェックリストを活用して対処しているのであれば、短所と一緒に対処法も伝えましょう。決断が遅いという短所をもつ方なら、スモールゴールや期日を細かく定めて決断をしてきたと伝えることや、チームで行う仕事の場合は、意思決定が早い人とペアを組んでお互いの得意分野を活かせるようにしてきたと答えることもできます。
応募企業が求める人物像に関連づけることが大切
応募する企業がどのような能力、人材を求めているかを事前にホームページなどで把握しておくことは非常に重要です。どれだけ優れた能力やスキルをもった人材であっても、職務で必要とされる能力や性格に合致していなければ、活躍することは難しくなります。面接では、その企業が求める能力を有していると効果的にアピールできるように準備をしておきましょう。
どのように答えても悪い印象にしかならない回答は避ける
どう受け取っても、社会人としての適性や人間性を疑われるような回答は避けなければなりません。例えば、せっかちであるという短所を説明する際に、ついあおり運転をしてしまうというエピソードを語ってしまうと、安全意識の欠如や順法精神を疑われてしまうでしょう。採用後にトラブルを起こしてしまうリスクを警戒されるため、こうしたエピソードは避けなければなりません。
まずは結論から答える
回答は簡潔であることのほうが面接官の印象に残りやすくなります。そのため、まず心がけるべきことは、結論を最初にもってくるということです。「わたしの長所は物事をじっくり考えることです」と結論から述べ、続いて具体性をもたせるエピソードを語ったほうが、面接官は話しを理解しやすくなります。
まとめ
面接で長所や短所を尋ねられることには、求職者が正しく自己分析をできているかどうかを見たり、短所をどのように克服しようとしているかで、課題解決能力を見たりするというさまざまな目的があります。きちんと準備して上手に答えたいものです。
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