転職などを理由で退職する際、在職中からさまざまな手続きが必要になります。次の職場へスムーズに移るには、在籍している会社で円満退職することが大切です。
この記事では、円満に退職するために必要な手続きやスケジュール、注意点について解説しています。会社へ返却するものや受け取るべきものについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【目 次】
●まとめ
退職までのスケジュール
退職前には、退職届を提出する以外にもやるべきことがあります。ここでは、退職までのスケジュールについて解説します。
就業規則を確認する
退職の際には、在籍している会社の就業規則を確認しましょう。各会社には、労働条件に関する決まりをまとめた就業規則があり、退職の手続きに関する項目が記されています。就業規則に沿わない提示を行うと受理されず、退職までに時間がかかると転職先に迷惑をかけてしまう恐れもあるため注意しましょう。
退職の意思を伝えて退職日を決める
退職の意思は、できるだけ早く直属の上司に伝えて、具体的な退職日を決定しましょう。民法上は「2週間前までに退職の意思を伝えれば退職できる」とありますが、手続きや引き継ぎなどには2週間以上の時間がかかります。円満に退職するためにも、退職希望日の1ヶ月~3ヶ月前には、直属の上司に退職の意思を伝えるのがよいでしょう。
退職届を提出する
退職届の提出や形式が就業規則で定められている場合には、就業規則に沿って提出します。形式の指定がない場合は、テンプレートなどを参考に作成しましょう。退職届の提出は、退職希望日のおよそ1ヶ月前までが一般的といえます。
仕事の引き継ぎをする
現在の担当業務の引き継ぎを後任の担当者へ行います。後任の担当者や担当業務に関わる人のスケジュールも確認し、退職後に不備が無いよう適切に引き継ぎを行います。退職届を提出した際に、後任の担当者が決まっていない場合もあるため、仕事のマニュアルや業務に関する資料を作成しておきましょう。
取引先へ挨拶周りをする
営業職など自分が担当する取引先がある場合には、退職により担当者が変わるため、挨拶周りをしましょう。会社の意向に沿い、退職希望日の2週間くらい前から行います。後任の担当者が決まっている場合は、一緒に同行することで引き継ぎの挨拶をします。
社内挨拶と備品返却を行う
退職日や最終出勤日には、同僚や上司など社内でお世話になった人へ退職の挨拶周りをしましょう。また、パソコンや制服などの会社の備品を返却します。会社からは、退職後に必要になる雇用保険被保険者証や年金手帳などを受け取ります。
退職の種類と退職届の必要性について
退職理由によっては、退職届の提出は必須ではありません。就業規則で退職届の提出を定めていない場合、口頭でも会社が承諾すれば退職は成立します。ここでは、退職の種類と退職届の必要性について解説します。
自己都合退職
自己都合による退職は退職届を提出するのが一般的といえます。従業員からの申し出により、会社との労働契約を終了させるため、自己都合による退職では退職届の提出が必要です。詳しくは在籍している会社の就業規則に準じましょう。
退職勧奨による合意退職
退職勧奨による合意退職とは、会社都合による退職を指すため、退職届を提出する必要はありません。退職届の提出を求められた場合は、自己都合ではない旨を示すために、退職理由の欄へ退職勧奨のためと理由を明記しましょう。
有期雇用で契約期間満了の退職
雇用契約期間の満了とは、契約期間の更新をせずに終了することです。会社、雇用される側双方からの意思表示がなくても労働契約が終了となるため、契約期間満了の場合も退職届は不要です。
解雇
解雇とは、従業員が自ら退職を希望するのではなく、会社の判断により一方的に退職の手続きを行うため、退職届を提出する必要はありません。
退職するために在籍中に行う手続き
退職をスムーズに進めるには、計画的に手続きを行うことがポイントです。在籍中に行う手続きについて順に解説します。
退職届の提出
退職届の提出について、就業規則で定めている会社もあります。指定フォーマットがあれば、利用して作成しましょう。指定がない場合には、Web上にある退職届のテンプレートを利用することをおすすめします。
会社支給の備品を返却
会社から支給されたものはすべて返却してください。具体的には以下のものがあります。
・社員証やカードキー、社章など身分を証明するもの
・名刺
・制服
・携帯電話
・パソコン
・文房具など社費で購入したもの
書類や年金手帳などの受け取り
会社に預けていたものや、今後使用する書類は必ず受け取りましょう。健康保険被保険者証は会社へ返却して、会社に預けていた雇用保険被保険者証や年金手帳を受け取ります。源泉徴収票や離職票も忘れずに受け取ってください。
離職期間がある場合はさまざまな手続きが必要
転職先の入社までに日数が空く、離職期間がある場合には、さまざまな手続きが必要です。詳しくは、以下で解説します。退職日の翌日から新しい会社に入社する場合は、自分で行う手続きはほぼありません。
失業保険の給付
転職先が決まっている場合には、手続きは不要です。転職先が未定の場合は、失業保険の給付を受けるため、住所地を管轄するハローワークで手続きを行います。失業保険の給付は、退職の種類により開始される時期が異なります。会社都合の退職の場合は、7日間の待機期間後になります。自己都合の退職の場合は、待機期間後から2~3ヶ月間の給付制限期間を経ての給付となります。
健康保険の変更
健康保険証は退職時に会社へ返却してください。国民健康保険に加入する場合は、退職後14日以内に居住地の役所で加入手続きをしましょう。会社の健康保険は、退職後最長2年まで任意継続できます。退職後から20日以内に、会社または健康保険組合で手続きを行いましょう。年収面などの条件が合えば、家族の健康保険に扶養として加入することも可能です。
住民税の支払い
在職中は住民税が給与から天引きされて支払われています。退職した会社と転職先の会社との間で特別徴収の手続きを行わない、転職先が未定の場合は、自分で住民税を納税しなければいけません。住民税の納税方法は、退職した時期により異なります。住民税の支払いについて必要な手続きや納税方法については、後ほど解説します。
年金の種別変更手続き
会社に在籍しているときは第2号被保険者ですが、退職すると国民年金第1号または第3号の被保険者へ切り替えが必要です。第1号への切り替え手続きや保険料の免除申請手続きは、住所地の各市区町村役所や年金事務所で行いましょう。被扶養配偶者など第3号の被保険者になる場合は、扶養に入る家族の会社に手続きを依頼します。
退職手続きを円滑に行うポイント
退職までに行う手続きは多いため、計画的に進めないと多方面に迷惑をかけてしまいます。退職手続きを円滑に行うポイントを解説します。
最初に直属の上司への報告をする
退職の意思は、最初に直属の上司へできるだけ早く報告することが重要です。話しにくいなどの理由で、直属の上司を飛ばして役職者へ報告しないようにしましょう。退職について同僚へ話したことが噂話しとなり上司の耳に入ると、直接退職の意思を伝えなかった行動から不信感を抱かれてしまい、退職交渉がこじれる原因にもなります。
退職までのスケジュールとリストを作成する
退職までの基本的な流れや、手続きを行う時期、やるべきことを把握するには、スケジュールやリストを作成するのがおすすめです。上司と退職日をスムーズに決定するためにも、引き継ぎの流れについて事前にまとめておきましょう。チェックリストを作成しておくと、必要な手続きが漏れなく進められます。
退職手続きを行う際の注意点
円満退職をするには、手続きを正しく行うことが重要です。退職手続きで注意すべき点について解説します。
会社の規定に沿って退職の提示をする
退職に関する手続きは、就業規則に沿って行いましょう。民法では退職の2週間前までに退職提示を行うとしていますが、円満退職には就業規則に沿った退職の提示が前提となります。「退職の提示は〇ヶ月前までに行う」などの記載がある場合は従いましょう。
退職した時期により住民税の納付方法は異なる
退職月が1~5月の場合は、退職する会社の最後の給与から一括で天引きされるため、手取り額が少なくなる可能性が高くなります。退職月が6~12月の場合は、退職月以降の住民税を自分で納めます。退職後すぐに転職した場合は、会社間で特別徴収のやり取りを行ううえで給与から天引きする方法を継続できる場合もあります。
失業保険の適用は自己都合と会社都合では異なる
失業保険の適用は、自己都合と会社都合により異なるので、注意が必要です。会社都合の退職の場合、突然失業するため、手続き後7日間の待機期間を経て給付が開始されて、給付額も手厚いといえます。自己都合による退職では、7日間の待機期間に加えて2ヶ月~3ヶ月の給付制限期間を経ないと失業保険が給付されないため、一定期間の収入がなくなります。
まとめ
退職までの流れや必要な手続き、退職届の必要性や退職時の注意点について解説しました。退職の手続きを正しく行うことが、円満退職にもつながります。また、退職後の転職先が決まっていると、自分で行う手続きが減少して、収入の確保もできて安心です。
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